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《95》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー4 下着

見た目に違わぬ、透き通った威圧感のある声で先生方を見回す。僕は一瞬で気圧されてしまったが、三木村先生は毅然とした態度で彼女に声を掛けた。

「それはどういうことだ。まさか、お前さんのところもか?」

三木村先生の言葉に、矢行先生は「ハイ」とだけ答えた。その場にいた教師らは深い溜め息をついたが、僕は訝しげに彼女を見つめた。
彼女は見た目通りの養護教諭だ。体育教師の資格も持っているため、臨時で体育の授業を受け持つことはあるが、基本は保健室で仕事をしているはず。何が失くなったのだろう。

「で、何が失くなったのですか?」

躊躇することなく、三木村先生は彼女に聞く。矢行先生は少しだけ困った表情で応えた。

「下着が失くなっていました。専用のタンスに入れてあったはずの、女児用の下着が二枚程……」

予想外の言葉に、誰も何も言えなかった。

◆◆

漆金学園高等学校は、概ねお金を掛けて新しく造り直されたものが殆どだが、校長室だけは時代から取り残されたかのように、年季が入った部屋のように感じる。
重々しい扉を開くと、正面には古そうな両袖デスクが抜群の存在感で置かれており、部屋の右手にはこれまた古そうな飾り棚(コレクションボードとも呼ばれている)。部活動の大会等で手にしたトロフィーや楯が沢山置かれており、その奥には職員室へと続く扉がある。左手には、来客を迎え入れるための机とソファーが置かれていた。こちらも年代物のようだが、高価なものであることは何となく察しがついた。さらに壁や床は木で出来ており、コンクリート化が進むこの学園では、浮いた場所ともいえる。
つまり、一つ一つにレトロな面影が残っているのだ。
……そんな珍しい空間に入れるのに、何でこんな憂鬱な気分なのだろう。

「つまり、これは盗難事件……ということになるのかな? 三木村先生」

デスクに座るのは木舟校長。その右隣にはピリピリした空気を醸している、岡教頭。彼らに向かい合うように立つのは、三木村先生と矢行先生。そしてその後ろには……何故か僕。
あの後、件の生徒らにもう一度持ち物を探させたが、やはり全員見つけることは出来なかった。学校に入るまでは持っていたことは間違いないらしいので(僕のクラスの生徒以外は)、もしかしたら誰かが拾ってそれっきりということも考えられる。ひとまず各々教室で待機させているらしい。
当然このままにしておくわけにもいかず、学年主任の三木村先生が代表で校長室へと向かった。個人的に伝えたいことがある、ということで矢行先生も着いて行くことになったが、何故か僕まで矢行先生に首根っこを掴まれて連れて来られた。

「はい。浜本先生のクラスからは二人の女子生徒の財布が失くなり、松田先生のクラスからは、不正に持ち込んだ男子生徒のスマートフォンが失くなり、築月先生のクラスからは、数人の生徒の勉強用具が数点失くなりました。因みに、私のクラスからは女子生徒が一人、先日購入したばかりだという万年筆が消えたとか。生徒達の言葉を全て信じるのなら、そういうことになります」

「そして、保健室からは生徒用の予備の下着が二点失くなりました」

ひと通り話を聞いた校長生徒は、机の上で困ったようにうずくまり、薄くなりつつある頭をさする。その隣に立つ恰幅の良い中年女性は、身体をプルプルと震わしながら、片手で机をバン!と叩いた。

「何てこと! 我が校は、近年より安全対策にも尽力して、常に不審人物には目を光らせていたというのに……!!」

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Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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