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《37》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (Ⅰ)日誌2ページ目

――それから数分も経たないうちに、伊庭先生が現れた。電話では詳しい説明をしていなかったので、簡単に状況を伝えると彼女はすぐに真剣な顔つきになって桃瀬さんの解放にあたった。ここにいるのも気まずくて、上履きに付いた桃瀬さんのオシッコを拭き取ると僕は屋上の扉へと通じる学校内の階段へと避難して、諸々の作業が終わるまで待つことにした。これで、僕も少しは彼女の担任として成長出来たのかな、なんて思いながら。そう。...

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《36》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (7)ー3 担任

「ゴメンなさい……何度も何度もみっともないところを見せてしまって……汚いものをみせてしまって……本当に死んじゃいたい気分です」赤く腫れた瞳に滲む涙が意図するものは、悲しさか、それとも悔しさか。そんなことどうでもいい。目の前で悲観にくれる女の子がいたら助けるのが男のつとめ。それは未来永劫ずっと変わらない必然のはず。僕は、彼女の瞳を射抜くように見つめる。「いいか、桃瀬。さっきも言ったと思うけど、君が死んだら...

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《35》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (7)ー2 蓄積

「ウ……ウ……」渇いた彼女の目から、ぼろぼろと涙が零れ始める。端正な顔をぐしゃぐしゃに歪め、そして。「ウゥ……ウァ……ウワアァァァァン!!!!」僕に思いっきり突進してきた。急な抱擁に驚いたが、僕は彼女を真正面から受け止めた。ズボンが少し彼女のオシッコで滲んだが、彼女を拒むことはしなかった。「先生ぃぃ……!! ゴメンなさいィ!!!! 私……あたし……アタシ、またぁぁ……!!!! ウワアぁぁぁぁ!!!!!!!!」堰を切...

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《34》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (7)ー1 貯水

放課後の学校の中を、僕は桃瀬さんの姿を探して回った。今の彼女が行きそうな場所は限られている。だから、彼女が屋上の貯水タンクの前で体育座りをしていても驚かなかった。「桃瀬さん……」僕は荒ぐ息を整えると、彼女の横に腰を下ろした。彼女は顔を伏せ、僕と目を合わせようとしない。何を話していいか分からない。彼女自身も放っておいてほしいのかもしれない。しかし、ここを動くことは出来なかった。そのとき。ーーショワショ...

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《33》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (6)ー6 利尿

間違いなかった。1ー2組の委員長件生徒会執行部会長の役職も務める学園きっての秀才、そして桃瀬の恋人でもあるはずの彼が、どうしてこんなところに。いやそもそも、どうして彼らと一緒にいるのか。「上山くぅ〜ん、こんなとこにいていいのか? 〝大切な〟生徒会会議なんじゃなかったの?」「大丈夫だよ。今日は決算報告だけだから、僕一人いなくても何とかなるよ。たまには羽を伸ばさないとね」「ヒュー、エリートさんは言うこ...

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《32》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (6)ー5 不良

人の心は決して分かりあえるものではないと良く言うが、それならどうやって人の心を掴めばいい? 人間は本音と建前で生きている。自分のこの気持ちすらも、もしかしたら本音ではないのかもしれない。本人も自分の気持ちが分からないなら、他人がどうして分かるのか? 身体も心も傷付き、何が正しくて何が間違っているのか分からない不安定な状態の彼女の本心はどこにあるのか? 誰が知っているのか? 友達? 恋人? それとも、やっ...

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《31》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (6)ー5 記憶

声をかけられていることに気付き、僕はハッと顔を上げた。伊庭先生が不審そうに僕の顔を覗き込んでいた。「さっきのこと、どういうことですか?」(…………)僕は「さぁ、何のことか僕には……」と、意味が分からない素振りで答えた。彼女は怪しんでいたが、ひとまず納得してくれた。◆◆そうこうしているうちに、今日の授業は全て終了。HPを終えた生徒達は、ある者は部活動に勤しみに、ある者は机の上にノートを広げ勉学に取り組み、ま...

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《30》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (6)ー4 光景

「は、はい……え〜と、まずは『いじめの実態を調査』します。本当にあった場合は、それが個人かグループかを把握します。その結果をすぐに、校長先生と教頭先生に報告して、指導を仰ぎます」僕は頭の中のテキストを開き、プロセスの手順を伝えた。「素晴らしい。素晴らしいくらい教科書通りの初期対応ね。60点」彼女はスプーンを指揮棒のように振りつつ、僕を諭す。「まずどうやって〝いじめの調査〟をするつもり? 思春期の子供...

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《29》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (6)ー3 納得

しかし、今日は自分のクラスで授業がなくて本当に助かった。担当クラスでいじめが起きているかもしれない、という事実を信じたくはないけど、今の1ー4には心当たりがありすぎる。そんな状態で授業中なんてやったら、気まずさで集中なんて出来るはずがない。実際、朝の段階で何人かの生徒はかなりショックを受けていたし。かといって、いつまでも引きずっていてはいけない。いじめ問題に焦りは禁物。しかし、楽観もダメ。落ち着い...

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《28》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (6)ー2 経験

「それで保護者の方々が納得するとでも?」獲物を見つけたワシのようなジト目で、僕を問い詰めんとする岡教頭。「我が校は何年も前から〝いじめ撲滅〟を宣言し、いじめ防止週間といったものにも積極的に取り組んでいました。教員一人一人の意識が高く、この学園なら子供を預けられると、毎年信頼を勝ち取ってきました。しかし、今回の一件が明るみに出てしまったらどうなりますか!? 我が校の名誉が地に堕ちることになるんですよ...

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《27》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (6)ー1 由々

朝の職員会議は重苦しい空気に支配されていた。本来なら業務連絡と、近々結婚する予定の先生からその報告があったらしいが、その全てが変更された。「……各SNS等への違反報告は既に行っていますが、削除依頼の方が滞っています。会社の方に直接連絡してみたのですが、少なくとも半日はかかるとのことです」切れ長の眼差しを吊り上げた、神経質そうな印象の長身男性ーー敷島(しきしま)先生の報告が終わると、あちこちで溜め息が...

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《26》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (5)―5 悲鳴

息も絶え絶えに1ー3組まで辿り着いたが、直ぐには教室に入れなかった。クラスの前に生徒達による人だかりが出来ていたのだ。同じ階の一年生の生徒だけではなく、二年・三年の生徒も何人かおり、皆クラスの中を覗き見ようと躍起になっている様子だった。中にはスマホを取り出し、カメラ機能を作動している生徒もいた。「コラ、どきなさい!! 自分の教室に戻りなさい!! どいて!!」伊庭先生は生徒達の波を掻き分けるように教室...

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《25》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (5)―4 漆金

僕が教師を勤める漆金(うるしがね)学園高校は、地域でも有名な進学校であり勉学への力の入れ具合は県内有数である。 その証拠に、一年次のクラス分けは入試の成績順、それから学期毎に行われるテストによっては入れ替えもありうるという、まさに実力第一主義なのだ。その成果もあってか、毎年多くの学生を有名大学に排出しており、遠くから通っている生徒も少なくはない。そのためか、上の方々は巷の悪評や噂にピリピリしている...

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《24》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (5)―3 姉弟

しかし、特に物思いに耽ることはない。この商店街を通った先に、自分が住む格安アパートがあるのだ。それにブツブツ呟きながら歩いている今、店員の声は右耳から入り左耳へと流されていく。僕は生徒らのことを子供扱いしながらも、男女交際のことに関してはもう大人だからと許容している。これは矛盾ではないのか。彼女は僕に、見守っていてほしいと言った。勿論彼女のことは助けたい。しかし、生徒間には教師には立ち入り禁止の「...

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《23》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (5)―2 見守

彼女は小さな肩を震わせ、目元の涙を袖で拭う。その姿に、いつもの〝委員長〟としての威厳はなかった。目の前の不安と恐怖に心を砕かれた、一人のか弱い女の子・桃瀬来久美がそこに立っていた。「先生、気付いてますよね? 私、ここ最近休み時間になるとまずトイレに行くんです、不安だから……。でも、この前すれ違う男子の一人が、私のことを〝頻尿女〟って呼んだんです……」その一言に僕は怒りを覚えた。ただでさえ、かなりのレベ...

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《22》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (5)―1 健全

「あ……」大きな貯水タンクの裏手は畳二畳程の空間があり、そこで二人の男女が抱き合いながら口付けを交わしていた。桃瀬が先に僕に気付き、驚いた顔で上山と距離を取った。彼は僕に気付かれても平然としていた。「これはこれは、築月先生。確か彼女……桃瀬の担任でしたよね? すいません、彼女とお付き合いさせて頂いている2組の上山です」彼は僕に、恭しい顔付きでお辞儀をしてみせた。桃瀬は顔を真っ赤にして俯いている。「あぁ...

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プロフィール

Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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