《35》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」 (7)ー2 蓄積
- 2017/03/28
- 02:07
「ウ……ウ……」
渇いた彼女の目から、ぼろぼろと涙が零れ始める。端正な顔をぐしゃぐしゃに歪め、そして。
「ウゥ……ウァ……ウワアァァァァン!!!!」
僕に思いっきり突進してきた。急な抱擁に驚いたが、僕は彼女を真正面から受け止めた。ズボンが少し彼女のオシッコで滲んだが、彼女を拒むことはしなかった。
「先生ぃぃ……!! ゴメンなさいィ!!!! 私……あたし……アタシ、またぁぁ……!!!! ウワアぁぁぁぁ!!!!!!!!」
堰を切ったように涙をワンワンと流す桃瀬さんを抱きしめて、初めて気付いた。何て華奢で、何て小さな肩なんだ。こんな身体で、彼女は一人苦しんでいたなんて。
「大丈夫、大丈夫だから」
熱い息が胸にかかる。彼女が脱力して泣き止むまで、僕はその背中を何度も何度もさすり続けた。
◆◆
数分後。僕達は、屋上の入り口前の小さな階段まで移動していた。彼女を、自分のオシッコの上に座らせるという惨めな思いをさせたくなかった。
「保健室で目を覚ましたら、傍らに田代さんがいました。田代さんから、今日は上山君が会議を休んだと聞きました。どうしてか分からなかったんですけど、田代さんに〝もしかしたら、私と会ってくれる時間をつくってくれたのかも〟って言われたんです。もしそれが本当なら、待たせるのは悪いかなと思って、すぐに探しに来たんです」
実際は、不良グループとの秘密の時間をつくるためのズル休み。今なら委員長達も顧問の先生も、規律に厳しい人は殆どいない。
「どこを探してもいなくて……そしたら、先生の後ろ姿が見えて。声をかけようとしたら、不良の人達の声に混ざって、上山君の声が聞こえてきて……それで……」
知りたくなかった真実を知ってしまったのだ。確証があるわけではないけど、彼の発言からその経緯が容易に推測出来る。
医療関係に勤める兄を持つ、例の不良の一人から利尿薬、つまり〝オシッコの量を増加させる作用を持つ薬〟を受け取った上山は、桃瀬さんの飲み物にそれを混入させたのだ。恐らく、あの日の委員会会議の前に。
ただでさえ男性よりオシッコの近い女性で、さらに昼食後なら余計に膀胱への蓄積量は高いはず。さらに、プライドの高い彼女は授業中に尿意を訴えることも出来なかったのだ。
「でも……何で? どうして、今オシ……」
僕の口からそれを言うのは躊躇わられ、貯水タンクの前のタイルに浮かんでいる、彼女の失敗の跡を眺めた。
「保健室で起きたとき、ちょっとだけトイレに行きたいと思いました。でも本当にちょっとだけだったんです。それなら後でいいと思って、上山君を探しに……」
上山を見つけることは出来た。最悪の場所で。最悪のシチュエーションで。最悪のタイミングで。
「私、頭の中が真っ白になって……どうしたらいいか分からなくて……気付いたらここにいて……そしたら、急にオシッコに行きたくなって……でも、もうどうでもいいやって……」
その自暴自棄にも似た態度が、彼女のお尻に伝わってしまったのか。少しでも抵抗すればもう少し止めれていたかもしれないが、その意思すらなかったのだろう。
渇いた彼女の目から、ぼろぼろと涙が零れ始める。端正な顔をぐしゃぐしゃに歪め、そして。
「ウゥ……ウァ……ウワアァァァァン!!!!」
僕に思いっきり突進してきた。急な抱擁に驚いたが、僕は彼女を真正面から受け止めた。ズボンが少し彼女のオシッコで滲んだが、彼女を拒むことはしなかった。
「先生ぃぃ……!! ゴメンなさいィ!!!! 私……あたし……アタシ、またぁぁ……!!!! ウワアぁぁぁぁ!!!!!!!!」
堰を切ったように涙をワンワンと流す桃瀬さんを抱きしめて、初めて気付いた。何て華奢で、何て小さな肩なんだ。こんな身体で、彼女は一人苦しんでいたなんて。
「大丈夫、大丈夫だから」
熱い息が胸にかかる。彼女が脱力して泣き止むまで、僕はその背中を何度も何度もさすり続けた。
◆◆
数分後。僕達は、屋上の入り口前の小さな階段まで移動していた。彼女を、自分のオシッコの上に座らせるという惨めな思いをさせたくなかった。
「保健室で目を覚ましたら、傍らに田代さんがいました。田代さんから、今日は上山君が会議を休んだと聞きました。どうしてか分からなかったんですけど、田代さんに〝もしかしたら、私と会ってくれる時間をつくってくれたのかも〟って言われたんです。もしそれが本当なら、待たせるのは悪いかなと思って、すぐに探しに来たんです」
実際は、不良グループとの秘密の時間をつくるためのズル休み。今なら委員長達も顧問の先生も、規律に厳しい人は殆どいない。
「どこを探してもいなくて……そしたら、先生の後ろ姿が見えて。声をかけようとしたら、不良の人達の声に混ざって、上山君の声が聞こえてきて……それで……」
知りたくなかった真実を知ってしまったのだ。確証があるわけではないけど、彼の発言からその経緯が容易に推測出来る。
医療関係に勤める兄を持つ、例の不良の一人から利尿薬、つまり〝オシッコの量を増加させる作用を持つ薬〟を受け取った上山は、桃瀬さんの飲み物にそれを混入させたのだ。恐らく、あの日の委員会会議の前に。
ただでさえ男性よりオシッコの近い女性で、さらに昼食後なら余計に膀胱への蓄積量は高いはず。さらに、プライドの高い彼女は授業中に尿意を訴えることも出来なかったのだ。
「でも……何で? どうして、今オシ……」
僕の口からそれを言うのは躊躇わられ、貯水タンクの前のタイルに浮かんでいる、彼女の失敗の跡を眺めた。
「保健室で起きたとき、ちょっとだけトイレに行きたいと思いました。でも本当にちょっとだけだったんです。それなら後でいいと思って、上山君を探しに……」
上山を見つけることは出来た。最悪の場所で。最悪のシチュエーションで。最悪のタイミングで。
「私、頭の中が真っ白になって……どうしたらいいか分からなくて……気付いたらここにいて……そしたら、急にオシッコに行きたくなって……でも、もうどうでもいいやって……」
その自暴自棄にも似た態度が、彼女のお尻に伝わってしまったのか。少しでも抵抗すればもう少し止めれていたかもしれないが、その意思すらなかったのだろう。