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《97》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー6 常備

対策チームのメンバーは、校長・教頭含め、学年主任の先生方と、生徒指導の教員数人、そして被害者生徒を受け持つ担任の教員なのだが、何故か1-3組からは副担任のリンコが選ばれた。確かに彼女は、学園の風紀を守る委員会の顧問でもあるし、こういう問題には適任だと思うけど……何だか複雑な気分。

「まぁリンコも選ばれたことで張り切っているんだし。元気だせよ、太郎」

リンコの後ろ姿をボーッと眺める姿が寂しそうに思われてしまったのか、矢行先生に憐れむようにポンポンと肩を叩かれた。

「別にそういうわけじゃ……っていうか、矢行先生はいいんですか? 一応被害に合ってるんですし」

「私の話すべきことは全部校長に話したよ。それよりも、ちょっと付き合ってくれ」

そう言って、またしても首根っこを掴まれた僕は引きづられるように職員室を出ることとなった。一応、仕事があるのだが。
因みに生徒達へのケアについては、僕のクラスは五分も経たずに済んだ。何しろ消えたのがノート二冊にプリント一枚だ。新しく刷って渡してやればいいだけだし、ノートに関しては分からないところを優先的に個別で教える、ということで納得してもらった。ただ、他のクラスの生徒は少し時間が掛かりそうとのこと。
そんなこんなで僕が連れてこられたのは、職員玄関。靴を履き替える彼女に「どこに行くんですか?」と尋ねる。

「太郎に話しておきたいことがあってね、私達は私達で調べましょう」

そう言うと、彼女は動きやすいスニーカー靴に履き替えて学校から出ていこうとする。僕は彼女の言ってることの意味の半分も分からなかった。しかし、嫌な予感だけはハッキリとした。

「ちょっと待って下さい。 まさか、何か調べるつもりですか? その必要はありませんよ、多分犯人は先生方が見つけてくれますよ!」

そんな彼女を僕は止めようとする。
昔からこの人は、自分の言いたいことや、やりたいことはキッチリ自分でやらないと気が済まない性格なのだ。それが上司からの命令や規則を破るカタチになったとしても。そんな彼女に魅力を感じる同僚や、生徒が多いのは間違いないが、反発する人が多いのも当然だ。しかも、この流れは完全に僕を巻き込もうとしている。

「職場に戻りましょうよ。僕らに出来ることなんてたかが知れてます。対策会議も開かれていますし……それに、僕のクラスの被害は最小限です、何も心配はいりませんよ」

前回は、僕のクラスの生徒のことに関することだったので自然と身体が動いたが、今回は状況が違う。自分のクラスの生徒へのケアはもう必要ないし、他の先生方も動いてくれている。自分達の出る幕はないはずだ。

「心配はいらない……ね。じゃあひとつ教えてあげる。くれぐれも他言無用でね」

僕も靴箱から革靴を取り出すと、それに履き替えて彼女の後を追った。どこに向かうかは分からないが、彼女はアスファルトの道を横切りながら正門の方へと歩を進めていく。

「保健室から下着が無くなったと言ったけれど……それは常備用のものじゃないの」

吹きわたる風に髪をなびかせながら、早歩きで進む彼女の横に並ぶとポツリと口を開いた。
そして眉根を寄せながら、一拍置いて彼女は言った。

「盗まれたのは、前に桃瀬さんが失敗したときに預かりっぱなしになっていたもの……つまり、二枚とも桃瀬さんの下着なのよ」

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Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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