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《101》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー10 名塚

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警備員室のドアを開けると、学校内部とは違う独特の匂いがした。
目に入るのはロッカー二つと、中央に置かれた丸テーブル。正門が良く見える大窓とその前に備え付けられたディスプレイモニター。監視カメラの映像が映し出されているのだろう。広い造りではないが、さほど物が置かれていないため狭苦しい印象はない。

「あぁ矢行先生、お疲れ様です。……それと、築月先生」

警備員室には、監視カメラの映像をチラチラ確認しながら、書類らしき紙に目を通す若い女性が一人。警備員らしく堅苦しい制服に身を包んでいる。
彼女は僕達に気付くと、椅子からスクッと立ち上がり、僕達の名前を言いながら深々とお辞儀をしてきた。

「お疲れ様です、名塚(なつか)さん。ちょっとお時間よろしいでしょうか」

矢行先生は、初めてとは思えない調子で気さくに彼女に話しかけた。彼女に続き僕も警備員室に入り、後ろ手でドアを閉めた。

「盗難事件の話は聞きましたか?」

「……ハイ。つい先程、岡教頭先生から。本当に申し訳ございませんでした。私達の責任です」

彼女は線の細い体をピシリと伸ばし、生真面目そうに答えた。僕と同じくらいの年齢に見えるのに、その立ち振る舞いには隙がない。

(名塚さんか……)

彼女はとても凛々しい目鼻立ちをしており、黒髪に短髪にしていることで、芯の強さも持ち合わせているように感じる。彼女のことを詳しく知っているわけではないが、警備員という役職は転職のように思えた。

「大丈夫、別に貴方を責めてるわけじゃないから。それよりも聞きたいことがあるの。えっと……普段ここってどのような警備体制なんですか?」

「……どのような?」

「そう。どんな体制で警備を行っているんですか?」

矢行先生の質問に、僕も彼女も訝しげな表情をつくった。僕は彼女が何を言いたいのか全く分からなかったが、名塚さんは少し困りつつも答えてくれた。

「え〜と、そうですねーー基本的には不審者のチェックを二十四時間体制で行っています。陽が出ているときは私と中畑さんで、夜の間は別の警備員がやって来て巡回警備を行います」

「生徒の登校時は?」

「正門前と裏門前に私達が立ち、警備を行っています。来校者の方々は、まず私達が受付をしなくては絶対に入れません」

安全対策に気を遣っているだけのことはある。
確か、付近の交番と情報交換もしているとか。話を聞く限り、警備体制に隙があるようには思えない。

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Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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