《10》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (3)ー1 追求
- 2017/01/25
- 13:14
放課後。場所は食堂から繋がっているテラス。屋外に白いテーブルと椅子が幾つも並べられている。ここは普段は生徒達の憩いの場所となっているが、今は僕達三人しかいない。
肩をすぼめて椅子に腰を下ろす僕。マグマのごとく燃えたぎる瞳を携え、向かいの椅子に座る伊庭先生。そして、立ったまま腕を組んで僕らを冷めた目で見ている矢行先生。
「……というわけなんです」
授業終了後、ここに呼び出された僕は、伊庭先生の咎めるような視線に耐え切れず全てを話すことにした。
桃瀬さんの失敗、保健室での慰め(抱擁の件については口が裂けても言えない)、そして替えの下着の件についても。
「では、これはどういうことなんですか?」
机の上に置かれた伊庭先生のスマホの画面には、僕が映っていた。保健室で女性用の下着を広げ、それをジッと見つめる僕が。
「ですから、桃瀬さんに着替えを渡そうと……」
「それが問題だと言ってるんです!!」
僕の弁解を凛とした声で言い返す。握りこぶしが打ちつかれたテーブルに、地震のような振動が起きる。
「相手は多感な年頃の女の子なんですよ!? 矢行先生を待つか、探すか、私を呼ぶとか……他に幾らでも方法はあったでしょう!? 桃瀬さんが優しい子だったから良かったものを……もし、あのとき私じゃなくて別の人が入っていたらどう言い訳するつもりだったんですか!?」
赤い顔をしてまくし立てる彼女の剣幕に一喝されてしまった僕は、何も出来ずシュンとなってしまった(矢行先生曰く、「捨てられた子犬」のようだったとの後日談)。
伊庭先生は深く溜め息をつくと、自分のスマホを掴み立ち上がる。
「今回のことは校長先生に報告します。この写真が何よりの証拠です」
その言葉は僕の身体にずしっと重くのしかかった。やはりか。
彼女は漆金学園の教員の中では、僕と同じく新参者の部類に入るが、とにかく規律を遵守することに拘る。生徒はおろか、教員の行動にも審判のように常に目を光らせているのだ。
「まぁまぁ、リンコちゃん落ち着いて。本人も反省しているようだし、今回のところは許してあげたら? ルーキー君とは同期なんでしょ?」
肩をすぼめて椅子に腰を下ろす僕。マグマのごとく燃えたぎる瞳を携え、向かいの椅子に座る伊庭先生。そして、立ったまま腕を組んで僕らを冷めた目で見ている矢行先生。
「……というわけなんです」
授業終了後、ここに呼び出された僕は、伊庭先生の咎めるような視線に耐え切れず全てを話すことにした。
桃瀬さんの失敗、保健室での慰め(抱擁の件については口が裂けても言えない)、そして替えの下着の件についても。
「では、これはどういうことなんですか?」
机の上に置かれた伊庭先生のスマホの画面には、僕が映っていた。保健室で女性用の下着を広げ、それをジッと見つめる僕が。
「ですから、桃瀬さんに着替えを渡そうと……」
「それが問題だと言ってるんです!!」
僕の弁解を凛とした声で言い返す。握りこぶしが打ちつかれたテーブルに、地震のような振動が起きる。
「相手は多感な年頃の女の子なんですよ!? 矢行先生を待つか、探すか、私を呼ぶとか……他に幾らでも方法はあったでしょう!? 桃瀬さんが優しい子だったから良かったものを……もし、あのとき私じゃなくて別の人が入っていたらどう言い訳するつもりだったんですか!?」
赤い顔をしてまくし立てる彼女の剣幕に一喝されてしまった僕は、何も出来ずシュンとなってしまった(矢行先生曰く、「捨てられた子犬」のようだったとの後日談)。
伊庭先生は深く溜め息をつくと、自分のスマホを掴み立ち上がる。
「今回のことは校長先生に報告します。この写真が何よりの証拠です」
その言葉は僕の身体にずしっと重くのしかかった。やはりか。
彼女は漆金学園の教員の中では、僕と同じく新参者の部類に入るが、とにかく規律を遵守することに拘る。生徒はおろか、教員の行動にも審判のように常に目を光らせているのだ。
「まぁまぁ、リンコちゃん落ち着いて。本人も反省しているようだし、今回のところは許してあげたら? ルーキー君とは同期なんでしょ?」