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《116》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(5)ー4 見張

「それならば、カメラにセンサー機能なんて付けないと思います。それを搭載する理由は、不定期に現れる監視対象者の絵を確実に狙うため。リアルタイムで観ているなら、そんなことする必要ありませんよ。つまり犯人は、ただカメラを設置しただけに過ぎないのです」

矢行先生の主張を聞くと、彼女は口を一文字にして考え込む。再び訪れた沈黙だったが、ものの数秒もしないうちに、彼女の口で再び破られた。

「……でも私達だけで出来る? 犯人がいつまたここに来るか分からないのに、それまでずっと監視してるつもり? そんなの無理よ。私にも仕事があるし……太郎、あなただって。特に、今週からテスト週間でしょ? 授業後は忙しいはずよ」

……そうだった。色々なことがあり過ぎて忘れていたが、テスト週間はすでに始まっていたのだ。
放課後に職員室に来る生徒の大半は、分からない問題に関する質問が多いのだが、テスト前になるとそれが二倍にも三倍にも膨れ上がる。そこで漆金学園では、職員室近くの空き教室を開放し、臨時の学習室として教師と生徒らが集中的に授業をすることが出来るようになっていた。自習時間扱いなので、生徒のスケジュールに合わせた選択式のものだが、毎日多くの生徒が参加している。確か僕は、明日とテスト前日を受け持つことになっていた。

「私は時間があるといえばありますが、機器に関するトラブルが起きた場合や、校長や教頭に呼ばれたときはそちらを優先しなくてはいけませんね」

……つまり、三人だけでここを見張り続けるのは難しいということか。
万策尽きたか、と思った矢先、
ーーブーン……ブーン……
と、無機質な振動音が僕の耳に届いた。

「はい、もしもし」

何のことないといった感じで、矢行先生がスマホを取り出し電話に出る。
今は放課後。この時間なら生徒と違い教員は、電話からネット、使いたい放題だ(この前、昼休憩に保健室でスマホを取り出しながら、ニヤけていた矢行先生を見たけど、指摘したらまた何か言われそうなのでヤメた)。

「……えぇ……いるわよ……え、何ですって、それ本当!? 分かったわ。教えてくれてありがとう」

電話の向こうの相手が誰なのかは分からないが、彼女は訝しげな表情を見せた後、ギョッとした表情になり眉を寄せた。そして険しい表情を見せた後、ディスプレイを押し会話を終えた。

「読みが当たりましたか?」

「えぇ、恐らくわね。警備員の名塚さんからよ
。近くの交番から連絡が入ったらしいわ、昼頃学園近くで、セーラー服を着た怪しい人物が目撃されたとね」

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Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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