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《118》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(5)ー6 憔悴

蛍光灯が怪しく光る薄暗い廊下。表面材がボロボロになったドアが四つ並ぶ。
その一番奥が僕の部屋なのだが、その部屋のドアを背に一人の女性が座り込んでいた。

「…………」

着ている服が汚れるのも構わず、体育座りでしゃがみこんでいる彼女は、僕にも気付かないのが顔を伏せたままピクリとも動かなかった。

「……シミ、姉……?」

おそるおそる近付きながら話しかけると、彼女はゆっくりと顔を上げて僕と目を合わせた。その顔はまぶたや目がパンパンに腫れており、鼻の頭もほんのりと赤くなっていた。明らかについ先程まで泣いていたことが分かる。
どうしたのかと、勢い込んで近付こうとすると、

「……来ないで」

彼女は落ち込んでいるような、憔悴しきったような、とにかく覇気が感じられない表情でポツポツと答えた。

「…………」

僕は何かを察し、彼女を覗き込むようにゆっくりと近付いた。そして〝それ〟に気付いた。

「見ないで」

ドアの前には水たまりが広がっていた。いや、正確に言うと、小さな水たまりとその周りを囲むように、水たまりだった痕が広がっていた。
雨が降れば地面に水たまりが出来る。雨が上がれば水が引き、そこには跡だけが残る。そんな濡れた痕が、この共同廊下にも浮かび上がっていた。雨なんて降ってないし、あちこちに飛び散った跡があるから、扉のすぐ前で水などをこぼしてしまわない限りこうはならない。
僕は彼女に悪いと思いながらも、しゃがみこんで彼女の衣服を確認した。

「…………」

今日の彼女のトップスは、胸元から背中にかけて施した刺繍が可愛いブラウス。下は、上品な印象を与えるフリルスカート。その華やかな着こなしは、大人の洗練されたエレガントっぽさを醸し出している。
そのスカートが、無残にベッタリと濡れていた。いや正確には、先程同様〝濡れた痕〟をつくっていた。
普通の水と違い、色んな物を含んだその液体はスカートの繊維内を移行し、恥ずかしい染みと化していた。スカートが白いので、薄黄色のそれはことのほか鮮明に残っている。おそらく触れれば、まだ水っ気を感じるだろう。
そのとき、その特有な残り香がモワンと鼻についた。

「ヒッグ……ヒッ……グ……ウグゥ……」

それを指摘するのをためらっていると、彼女は恥ずかしさからか嗚咽を漏らし始めた。こらえることの出来ない涙がポタポタと落ち、地面に新たな染みをつくっていく。

「シミ姉」

「ゴメン、太郎……お姉ちゃんまた……オシッコ漏らしちゃった……」

まるで事件を起こした犯人のように彼女は白状
すると、顔を手で覆って泣き始めた。彼女の悲痛な涙声が廊下に響く。
このままではいけない。何とかしなくちゃ。
僕は周りを少しだけ確認した。二階の四つの部屋のうち、明かりが灯っている部屋は一つもない。僕以外にも入居者はいるらしいが、夜の仕事をしているのかあまり顔を合わせたことはない。おそらく今帰ってくることはないと思うが、このままにしておくわけにはいかない。

「シミ姉、僕の顔を見て」

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Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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