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《124》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(6)ー1 義父

話し声ひとつない空間に、僕は背筋をピンと伸ばし立っていた。
目の前では、厳めしい表情の築月氏ーーいや義父さんが、つい今しがた僕から手渡されたプリントを椅子に腰掛けながらジッと眺めている。
ここは義父さんの書斎(ワークスペース)。天井まである高さの収納棚を部屋の左右に配置し、入り口から正面が見える場所に、社長机のような奥行きたっぷりの高級デスクが置かれている。

「…………」

僕の表情が硬い理由は二つ。
一つに、この空間の空気。例えるなら、担任の先生に呼び出され、独特のピリついた職員室に入らなければ行けないというあの嫌な感じ。あれに似ている。
そしてもう一つは、目の前に座る義父さんが醸し出す強烈な圧迫感だ。食事中のときや、リラックスしているときはさほど感じないが、今は彼の周りだけ温度が下がっているのではと思うほど、全身の毛穴が縮んでしまった。そういえば部屋に入ろうとしたとき、携帯で何か仕事の話をしていた気がする。内容は分からなかったが、かなり厳しい言葉を相手に投げかけていた。立ち去ろうとしたが、既にノックをした後だったので入らざるを得なかった。
義父さんに渡したのは、先日の中間考査の結果が書かれた採点表だ。義父さんのコネでこの時期に、名門校である『漆金学園高等学校 初等部』に編入させて頂いたのだ。下手な点数は取れないと、自分なりに努力に努力を重ねたつもりだが、果たしてどうか。

「14位か……250人中14位か……」

テスト結果を手渡してから数十秒後、ようやく義父さんが口を開いた。そこでようやく僕は背筋を凍り付かせるような感覚から解き放たれた気がした。

「これではダメだな」

厳しい表情をたたえたまま、眉を動かしながら義父さんは採点表を机に放り投げた。
一瞬の安堵の束の間、どっと身体中の毛穴から冷や汗が吹き出すのを感じ、思わず息を止める。

「世間一般からすればこれは十分過ぎる結果だろう。しかし、前に言った通り私は君に大きな期待を寄せている。常に君には私の予想を越えてもらいたい。私としては、君の実力ならば10位内は入れると踏んでいたのだがな……」

義父さんの落胆混じりの溜め息に僕は内心で少しだけムッとした。褒めてもらえると思っていたのに。

◆◆

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プロフィール

Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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