《130》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(7)ー1 巡回
- 2017/12/23
- 12:03
朝からあくびが止まらなかった。まぶたが降りて、首も曲がりそうなことも二度ほどあった。
『…………』
思考が何度もストップし、気付けば呆けたかのように口も開きっぱなしにーー、
「ーー先生!!?」
「え、あ、はいっ!?」
耳元で大声を出され、素っ頓狂な返事をしてしまった。
ハッとして顔を上げると、そこは職員室近くの空教室で、今は数日後行なわれる中間テスト前の集中授業の真っ最中だった。
僕の意識を現実に引き戻してくれた一番前の席に座る生徒に感謝して、僕は授業を再開した。
マズいな、今日はずっとこんな調子だ。ただでさえ時間も少ないというのに、仕事の方もプライベートも色々と問題が発生するしで、ちょっとした睡眠不足に陥っていた。
今朝の全校集会で、一年生のクラス内で発生した窃盗事件、それと昨日矢行先生がメールで教えてくれた、学園前をうろついていた不審者についてのお話があった。校長先生は、盗難事件に関してはテスト勉強の妨げにならないように配慮すると言っていたのだが、どうやら事情が変わったらしい。
『……ここからが、重要なことです。先程言った、二日前の夜と昨日の昼頃に現れたという不審者ですが、昨日の夜ーーつまり、数時間前にも監視カメラに映っていたことが判明しました』
セーラー服を着た怪しい人物。その正体が分からない今、もし何かあってからでは遅いというのが校長達の判断で、急遽下校時刻を大幅に早めることになった。さらに盗難事件の対策チームからは、〝その不審者が犯人の可能性も充分にある〟という声も出たので、まとめて集会で生徒達に説明することになったようだ。
生徒の反応は、盗難事件についてすでに噂が広まりつつあった一年生らも不審者の話に移ってからは徐々に不安そうな表情になっていた。初めて聞いたであろう、何も知らない二・三年生も浮き足立つものが多く、特に受験を控えた三年生にとっては身体の安全が脅かされないかと危惧する者が多かった。
因みに例の隠しカメラの件に関して、どうやら矢行先生らは約束を守ってくれたらしく話に出ることはなかったーー。
というわけで授業の時間が減り、生徒らも焦っている状態で、他事に気をとられて授業に精彩を欠いているのではマズい。
因みに今現在カメラはまだ回収されてはいないらしい。確かこの時間は名塚さんが例の教員用トイレを見張っている。
朝、職員室に入ろうとしたところで矢行先生と名塚さん、それと敷島先生に人気の少ない教室へと連れて行かれた。
『太郎、アンタ運が向いてるわね。警備員がテスト期間が終わるまで、四人も補充されるそうよ。日中は正門と裏門に一人ずつ、残りの二人は学校周辺を歩きながら目を光らせるみたい。名塚さんと中畑さんは、内部に詳しいだろうってことで校内を巡回することになったの。つまりーー』
決められた巡回ルートからこっそり外れ、数十分おきにトイレを見張りに行けば、犯人を見つけられる可能性がグッと上がる(さらに、警備員だけあって名塚さんは武道の嗜みもあるとか)。さすがに毎回外れていてはバレる可能性もある(もう一人の中畑さんとかに)ので、そこは自分達でカバーするしかない。そのため、基本的に人の目のない矢行先生に足を運ばせることになってしまった(この一件が済んだら、何か奢らされそうだ)。
『…………』
思考が何度もストップし、気付けば呆けたかのように口も開きっぱなしにーー、
「ーー先生!!?」
「え、あ、はいっ!?」
耳元で大声を出され、素っ頓狂な返事をしてしまった。
ハッとして顔を上げると、そこは職員室近くの空教室で、今は数日後行なわれる中間テスト前の集中授業の真っ最中だった。
僕の意識を現実に引き戻してくれた一番前の席に座る生徒に感謝して、僕は授業を再開した。
マズいな、今日はずっとこんな調子だ。ただでさえ時間も少ないというのに、仕事の方もプライベートも色々と問題が発生するしで、ちょっとした睡眠不足に陥っていた。
今朝の全校集会で、一年生のクラス内で発生した窃盗事件、それと昨日矢行先生がメールで教えてくれた、学園前をうろついていた不審者についてのお話があった。校長先生は、盗難事件に関してはテスト勉強の妨げにならないように配慮すると言っていたのだが、どうやら事情が変わったらしい。
『……ここからが、重要なことです。先程言った、二日前の夜と昨日の昼頃に現れたという不審者ですが、昨日の夜ーーつまり、数時間前にも監視カメラに映っていたことが判明しました』
セーラー服を着た怪しい人物。その正体が分からない今、もし何かあってからでは遅いというのが校長達の判断で、急遽下校時刻を大幅に早めることになった。さらに盗難事件の対策チームからは、〝その不審者が犯人の可能性も充分にある〟という声も出たので、まとめて集会で生徒達に説明することになったようだ。
生徒の反応は、盗難事件についてすでに噂が広まりつつあった一年生らも不審者の話に移ってからは徐々に不安そうな表情になっていた。初めて聞いたであろう、何も知らない二・三年生も浮き足立つものが多く、特に受験を控えた三年生にとっては身体の安全が脅かされないかと危惧する者が多かった。
因みに例の隠しカメラの件に関して、どうやら矢行先生らは約束を守ってくれたらしく話に出ることはなかったーー。
というわけで授業の時間が減り、生徒らも焦っている状態で、他事に気をとられて授業に精彩を欠いているのではマズい。
因みに今現在カメラはまだ回収されてはいないらしい。確かこの時間は名塚さんが例の教員用トイレを見張っている。
朝、職員室に入ろうとしたところで矢行先生と名塚さん、それと敷島先生に人気の少ない教室へと連れて行かれた。
『太郎、アンタ運が向いてるわね。警備員がテスト期間が終わるまで、四人も補充されるそうよ。日中は正門と裏門に一人ずつ、残りの二人は学校周辺を歩きながら目を光らせるみたい。名塚さんと中畑さんは、内部に詳しいだろうってことで校内を巡回することになったの。つまりーー』
決められた巡回ルートからこっそり外れ、数十分おきにトイレを見張りに行けば、犯人を見つけられる可能性がグッと上がる(さらに、警備員だけあって名塚さんは武道の嗜みもあるとか)。さすがに毎回外れていてはバレる可能性もある(もう一人の中畑さんとかに)ので、そこは自分達でカバーするしかない。そのため、基本的に人の目のない矢行先生に足を運ばせることになってしまった(この一件が済んだら、何か奢らされそうだ)。