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《21》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (4)―6 拠所

「同じ委員会になったときに、クミちゃんを好きになったそうです。最初は正直困ってました、クミちゃんまだ男の子と付き合うとか、そういうこと考えてなかった感じだったので。家のこともあるし……」

それは、桃瀬の両親が今海外にいることを言っているのか。周りの人間からすれば羨ましい話に聞こえるかもしれないが、当人には当人にしか分からない問題もあるのかも。

「それでもクミちゃんは、〝自分のことを好きと言ってくれる人の気持ちを無下に出来ないよ〟とOKしたみたいなんです。でも、クミちゃんはやっぱりどこか居心地が悪そうでした。……それでも私はクミちゃんが羨ましかったです。だってみんなが憧れる学園のアイドルとお付き合いしてるんですから」

彼女の悲しげな声と遠くを見つめるような眼差しは、友達が遠くへ行ってしまったように感じることから出たものか。それとも――。

「それじゃあ、今桃瀬さんは上山君と一緒にいるのか?」

「ハイ。多分上山君も話を聞いていると思いますけど、クミちゃんのことを心配してくれているみたいでした。クミちゃんがおも……失敗しちゃった次の日、すぐに廊下で話しかけてきてクミちゃんを慰めてました。あの日以来、昼休みはずっと彼と屋上にいます」

彼女の表情に陰りがあったのは、友達を救えないことへの歯がゆさかもしれない。自分ではない、友達の恋人が今の友達の心の拠り所になっているかもしれないことへの。

「詳しいことは分かったよ。教えてくれてありがとうね。僕は上山君にお礼を言ってくるよ、何だったら君も心配していることを彼女に話そうか?」

僕はまだ残りかけの弁当箱を片付け、まだ日替わり定食を食べ終えてない彼女には、かき込むと身体に悪いと伝えた。

「いえ、大丈夫です。今のクミちゃんには、あまり心に負担をかけさせたくないんです。いつか前みたいに……誰にでも自然な笑顔を見せてくれるようなクミちゃんに戻ったら、全てが元通りになると思いますので」

そう言って彼女は、自然な笑顔を僕に見せてくれた。言葉に偽りは感じられない。今の自分の言葉を心の底から信じている、いや願っているような表情だった。

◆◆

屋上の扉を開けると、吹き抜ける優しい秋風の心地良さを感じた。昼休みの定番スポットの一つとして有名な場所ではあるが、今日はだれもいない。珍しい。
果てさて、桃瀬と下山はどこにいるのか――そのときだった。

「ん……」

「んン……ウ……」

僕の耳に入ったのは、甘えるような密やかな息遣いと、ピチャピチャと何かを絡めあっているかのような音。耳をすませてみると、それは貯水タンクの裏から聞こえてくるようだった。

(……え!?)

生徒らから子供と揶揄されても、僕だっていっぱしの男だ。それなりに知識はある。それに、これは決して覗きたいとかそういう意図はない不純異性交遊を監視するための教師として当然の行動であってあれこの高校って恋愛禁止じゃないよなじゃあOKかアレでも校内で異性とキスするのはダメだろでも堂々とじゃないから大丈夫かイヤそもそも真昼間からキスすること自体が僕だってそんなにないのに――そこにいたのは、桃瀬と上山だった。

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プロフィール

Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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