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《70》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」(12)ー6 口元

こんな言い方したくないのに。もっと色々喋りたいのに。どうしても彼女の前だとムキになってしまう、子供みたいに。あの頃の僕らに戻ったみたいに。
叫びを聞いた彼女は、あくまでも笑顔を浮かべたままーー。

『そう……じゃあ、もう放っておくわ。〝あのときのあなた〟みたいにね』

僕に興味を失くしたように立ち去ろうとしたが、彼女はビタッと立ち止まり振り向く。

『でも、一つだけ忠告してあげる。……これは、始まりに過ぎないわ』

彼女は一転真剣な顔付きになり、僕に向けて指を突き出してくる。

『あなたの周りでは、もっとも〜っとすんごい失敗しちゃう娘がでてくるかも。果たしてあなたはどこまで守り切れるかしら? もう大人であるあなたと、まだ子供な彼女らとどこまで距離が詰められるか……楽しみね』

彼女はそれだけ言うと、満足したような表情を浮かべ十字路の影へと入っていく。

「ま、待って……」

僕は彼女を追いかけて、彼女が入った道を覗き込む。
そこには、誰もいなかった。
やはり、街灯と夜の灯りが夜を照らす人通りの少なくなった道を照らしていた。

◆◆

暫くそこに立ち尽くしていたが、頭にシミ姉が過ぎり現実に引き戻される。
早く帰らなくっちゃ。今日はいつも通りに帰ると約束したのだ。失敗でもされたら、また彼女を苦しめめることになる。明日の授業の準備もしなくちゃいけないのだ。
でも……身体が凍りついたように動かなかった。いや、動かそうと思えば動くのだ。しかし、脳内が別のことで埋め尽くされていた。彼女の放った「これで終わりじゃないわ」と「楽しみね」という言葉が、嫌に印象的で何かの暗示のように頭の中で何度も再生されていたのだ。そしてそれは、自分の頭・身体・そして心へと染み込んでいく。

そのとき気付いた。僕の口元が綻んでいることに。

まるで僕もまた、それを楽しんでいる男の一人であるかのように。

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プロフィール

Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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