恥じらう彼女にときめいて

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終わらない日はない。
女性教員用トイレという、異空間での話し合いから数刻。最寄りの商店街に程近い「もれい荘」へと帰ってきたのは、午後八時になる少し前のことだった。

（それにしても、まさか盗撮事件なんて……）

あの後、矢行先生は名塚さんから詳しい事情を聞くために、再び正門前の警備員室へと向かって行った。僕は事務仕事があるという名目で解放してもらったが、色々な件が気になって結局集中出来ずに、殆ど家へと持ち帰ることになった。敷島先生もまた直ぐに立ち去ってしまったので、その後の動向は見当もつかない。
そして帰る途中で、矢行先生から一件メールが入った。

【件名、今日は色々付き合ってありがとう。お礼にまた下着あげよっか？】
『本文、あの後名塚さんにも事情を説明して、私達に協力してもらえることになった。とりあえず、今夜から暫くの間警備員が補充されるみたいだから、夜に侵入されることはまずないと思う。後、例の〝怪しいセーラー服を着た人物〟についてだけど、今日の昼の一〜二時くらいに駅近くの交番で目撃されたそうよ。何で怪しまれたかっていうと、勿論あの時間に制服を着て外を出歩いてたってこともあるけど、遠目から見ても〝学生に見えなかった〟らしいわ。何となくらしいけど。とにかく、声をかけようとしたら走って逃げちゃったみたい。で、ここからが重要なんだけど、実は正面に備え付けられていた監視カメラにも映っていたんだって。昨日の夜に、セーラー服を着た怪しい人物が学園前を横切っていく姿がバッチリとね。これを知ってるのは、木舟校長と谷教頭、後三木谷先生よ。後は敷島にも伝えてある。どうも私達がトイレで駄弁っている間に、校長らは監視カメラを確認してたみたい。多分明日の朝礼で通達されると思うけど、先に伝えておくわね。で、盗撮カメラの件だけど……やっぱり私は皆に伝えるべきだと思う。でも、私は太郎がそう決めたのなら協力するつもり。とりあえず明日、早めに集まれたら集まろう。私はいつでも大丈夫よ。とりあえず、また明日ね』

……長い。女性ってメールを打つのが早いイメージがあるけど、これなら電話した方が早いんじゃ……まぁ、学園内で出来る話じゃないけど。とにかく一日猶予を貰ったんだ（いつ仕掛けられたかは知らないが、犯人が今夜動かないことを信じるしかない）。どうするかを今夜中に決めて、もしいい案が浮かばなかったら……。
そんなことを考えながら、階段をゆっくりと上る。とにかく今は自宅に戻って落ち着こう、今頃シミ姉が夜ご飯をつくって待ってくれているはずだ。前みたいなことが起きないように、丁度いい時間帯に帰ってこれたんだし。
こんなこと考えながら、階段を上り切ろうというときだった。

「アレ、シミ姉……？」