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《7》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (2)ー2 安堵

「ご、ごめんなさい……高校生にもなって、私……私……私ぃ……」

そこまでだった。止まっていた涙が再び両目から溢れて、彼女は保健室の中心で立ち尽くしたまま泣きじゃくり始めてしまった。
これではもう一人でなんて無理だろう。一緒に保健室に入ってしまった以上、彼女を残してなどいけない。やれることは全部やってから、矢行先生を探しに行こう。
僕は隅の戸棚の上に、本日分の新聞紙が置かれているのを見つけた。心の中で矢行先生に詫びると、新聞紙を分け、何枚かを奥のカーテンで仕切られた空間の床に敷いた。

「桃瀬、この上に乗りなさい」

そう呼びかけてみたが、彼女の涙は尽きなかった。可哀想なぐらいグッショリと濡らしたスカートを履いたままで。その姿は、まるで世界で一人取り残されてしまったかのようだ。

(どうする……? 何とかして彼女を落ち着かせなくちゃ……)

こんなときどうすればいい?
「おもらしした女子高生の慰め方」……そんなのテキストに載ってない。
ストレス、尿漏れ、メンタルケア……関連する言葉を思い浮かべるも、何一つ役に立ちそうもなかった。
でも彼女を助けてやりたい。最後の最後まで、一生懸命に頑張った彼女を救ってやりたい。彼女の担任として……いや、人として。

(………やってみるか)

迷いはなかった。立場なんかどうでもいい。肩書きなんかどうでもいい。これで彼女に軽蔑されてもかまわない。
これが僕の選ぶ最善の策だから――。

「桃瀬、大丈夫だよ」

僕は彼女を自分の腕に抱きしめていた。
胸の中に、と言いたかったが、彼女との身長差はほんの五センチ程。僕が背伸びしなくては無理か。

「桃瀬は悪くない。君が苦しんでいることに気付けなかった……僕が悪いんだよ」

彼女はおもらししたことで精神的に打ちのめされている。さらにその原因が自分のせいだとなれば、さらなるマイナス思考に陥ってしまう。
まずはそれを払拭してやりたかった。
保健室で女子生徒を抱き寄せるという、聖職者としては許されざる行為をしながら、僕は色々と呼びかけ続けた。自分が未熟だったとか、生徒をちゃんと見ようとしなかったとか、思いつくがままに喋ったが、正直どうでもいい。伝えたかったのは一言。

「だから……大丈夫だよ」

華奢すぎるほどの細い肩が震える。彼女の赤く腫れた瞳から小さな雫が溢れた。でも、それは先程までの〝後悔〟の涙ではなかった。

「よく頑張ったね。でも今度からはちゃんと伝えてね。僕は絶対ダメなんて言わないから」

その言葉に黙って彼女は首を縦に降った。長い黒髪をそっと撫でてやりたい気分にもなったが、これ以上は流石にマズい気がする。
僕が慌てて身体を離すと、先程の言葉を反復した。

「桃瀬、ゴメンだけどこの新聞紙の上に乗って。あ……上履きは脱いでね」

桃瀬は僕の言うことに素直に従った。脱いだ上履きを受け取ると、もう一枚別に敷かれた新聞紙の上に置く。

(うわ……こっちもぐしょ濡れだな)

手にした瞬間、おしっこ特有の生暖かさを感じた。おもらししたてのアンモニアの匂いが、僕の鼻腔をくすぐる。

「あの……先生」

彼女は新聞紙の上で靴下を脱ぎ、内股で立っていた。顔を真っ赤にして、何か言いたげだ。そこで僕は気付いた。
僕がここにいては、彼女が着替えられない。いや、それどころか彼女は何に着替えればいい?
教室に戻れば着替えのジャージがあるかもしれない。でも……その〝下〟は? 下は何を履けばいい?

「先生……」

僕が逡巡していると、彼女は耳まで真っ赤にしながら顔を伏せた。そして、ポツリと呟く。

「替えの下着……取って頂けますか?」

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プロフィール

Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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