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《91》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(2)-5 馬鹿

「太郎くん! 落ち着きなさい、何やってるんだ!! 」

放り出されるように廊下へと弾き出された僕は、前につんのめりそうになったがすんでのところで堪えた。そして、溢れる感情を身体から隠すことなく、しかし決して表情には出さないように中西さんを睨め付けた。

「……何をって……見て分かんないんですか。デキの悪い連中に教えてやったんですよ、傷付けられた子の苦しみを……」

「馬鹿モノ! 暴力では何も解決しない! ……君なら……それが分かるだろう?」

中西さんが必死の形相で、僕の両肩を掴み前後に揺らした。
しかし、僕には何も響いてこなかった。〝どうして邪魔をした〟をしたと言わんばかりに反論をした。

「では、言葉で教えてやれと? ……無理ですよ、アイツら馬鹿なんですから」

そうだ、アイツらは馬鹿だ。だから平気で人を傷付ける。相手の気持ちも考えずに。
アイツらだけじゃない。同じクラスの連中も、担任も、施設職員も、そしてこの人も、みんなみんな大馬鹿野郎だ。馬鹿だから気付いてあげられないんだ。
彼女らの苦しみを。我慢に我慢を重ね、限界を越えるまで頑張る彼女らの異変に気付いてあげられない。だから哀れな犠牲者が生まれ続けてしまうんだ。
そして一番の馬鹿は、気付いてあげられたのに彼女を……初恋の人を救えられなかったーー僕自身だ。

「中西さん、僕決めましたよ」

でも僕はアイツらとは違う。成長出来るチャンスを与えられた。
僕は選ばれたんだ。
このまま施設にいても意味がないし、何の未練もない。悲しむ人もいない。

「僕、築月さんの元に行きます。今までお世話になりました」

僕はぶっきらぼうにお辞儀をすると、彼は息を飲み僕の名前を叫んだ。しかし、僕の決意は揺るがない。

「今までの名前は本日限りで捨てます。今日から僕はーー」

あの人の言うことは正しい。
人間が成長するのに最も影響を与える存在、それは「家族」だ。子供は親の背中を見て大きくなる。つまり自分の上に誰もいなければ、自身の発展は見込めないかもしれない。
しかし、それはこの中西さんではない。申し訳ないが。
僕が成長するのに必要な人、それは。


「〝築月〟太郎です」

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プロフィール

Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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