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《92》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー1 週間

いよいよテスト週間が始まった。
この一週間はテスト前ということで、全ての部活が活動停止となる。
この期間中の放課後の過ごし方は、人それぞれ全く違う。さっさと家に帰って一人で勉強に励む生徒や、教室に残って友人らと共に勉強に取り組む生徒も多い。
そして職員室には多数の教員が座って、テスト作りに精を出す。部活も無く、帰る生徒も多いので、ホッと出来るひと時という先生もいるので、こちらも人それぞれである。僕はというと、既にテストは完成していたが、やらなければいけない事務仕事は多いので、ゆっくりしている時間はあまりなかった。

(特に昨日は、シミ姉の朝の失敗だったり……まぁ色々とあったりで、あまり仕事が進まなかったし……)

だから僕は帰りのHRが終わったら、さっさと職員室に戻ろうと教室を出るところだった。

「あの……伊庭先生」

そんな僕の耳に入ってきたのは、副担任の伊庭倫子ーーことリンコと女子生徒との会話だった。リンコは僕の大学の同級生であり、つい最近までとある事情で少しギクシャクしていたが、最近では少しずつ昔の関係を取り戻しつつあった。その証拠に、生徒が見てないところでは「リンコ」「太郎」と呼び合っている。
そんな彼女は、赴任二年目にして多くの生徒から恐れられていた。何しろ規則・ルールに厳しく、少しでも破った者には容赦なく制裁を与えるからだ(追加課題とか、授業中に指されることが増えるといった小さいものばかりだが)。見た目はキリッとして悪くないので、もう少し愛嬌があれば男子生徒から人気が出ると思うのに。

「先生……私のノート持ってないですよね?」

「……ハ?」

僕と同じく教室を出ようとしたリンコに話しかけた女生徒は二人。どちらも少しオドオドしながら、本当に困っているような顔つきをしていた。
質問をされた彼女は、間の抜けた声を出しながらもすぐに真面目な顔付きになり、

「私は預かってないわよ。授業の最初にいつも返すじゃない。何、無いの?」

彼女の口ぶりから、余り穏やかではないことが分かる。周りとは違う空気が流れつつあるその空間に、お邪魔とは思いながらも僕は「どうしました?」と入り込むことにした。

「私達の数学のノートが見当たらないんです。テスト勉強したいのに……」

このクラスの数学はリンコが担当している。確か今日は一時間目だったはずだ。

「今日はノートも回収はしてないし、確かに何人かには返したけど、あなた達には配ってないし。ちゃんと探したの? 探せばバッグの中とかから出てくるんじゃない?」

「探しましたよ、何度も何度も! でも見当たらないんです」

彼女らの言葉に余裕は無かった。そういや、数学のテストの平均点がダウンしていると聞いた。中だるみの時期とか、それともリンコのテストの出し方に問題があるとか、とにかく平均点以下の者は追試も検討されていると聞く。生徒からしたら、力の入れどころかもしれない。そんな中、数学ノートが紛失するというのは死活問題である。

「分かったわ、職員室に行って確認してみる。とりあえず、今は他の生徒のを見せてもらって……」

「あの〜、太郎センセ?」

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Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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