2ntブログ

記事一覧

《106》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー15 金隠

僕は少し身構えながら、立ち塞がるようにトイレの入口にもたれかかる彼女に懇願した。僕の言葉に、彼女は硬い表情で答えた。
やはり無理か、そりゃそうだ。僕はつい今しがた後先考えず、男禁制の女性用トイレに入ってしまい、あろうことか矢行先生の排泄音まで聴いてしまったのだ。白い扉に閉ざされていたとはいえ、上下にはしっかりと隙間もあるし反応から彼女もそれに気付いているはず(何なら、扉を隔てて会話もしたし)。知らない仲ではないとはいえ、その行動に不信感を持たれてもおかしくはない。
一瞬の沈黙が生まれた後、彼女は鋭い眼差しを崩さずに答えた。

「……分かったわ、私が許す」

そう言うと彼女はスクッと背中を扉から離し、片手でガチャリとドアノブを開けた。トイレへの道のりを妨げるものは何もない。
あっさりと許しを得たことに僕は思わずポカンとなり、自分よりも背の高い彼女を見上げた。

「タロウのことは私がよく知ってる。何考えてるかは知らないけど、アンタは絶対に人の道を踏み外すようなヤツじゃない。ただし、念のため私も一緒に入る。危険と判断したら、すぐに人を呼ぶからね」

その凛とした瞳を向けられ、僕は胸の鼓動が高くなるのを感じた。
あぁやっぱり、この人の前では嘘はつけない。でも大丈夫。だって、これからの行動に嘘は一つもないから。
僕は彼女に感謝の言葉を告げると、トイレへと入って行った。先程と同じく、個室のボックスが二つ並んでいる。矢行先生が使用していたのは、奥側の個室だ。

「…………」

迷ったが、僕は奥側のトイレの中に入った。後ろで彼女が何か言いかけたが、心の中で謝りつつ無視した。彼女からしたら、自分の使用後のトイレなんて入られたくないだろう。
しかし今は緊急事態である。後で彼女には謝るだけ謝っておこう。

(普通の和式便所か……)

そこには床に埋め込まれた、公園で見かけるものと何ら変わらない、しゃがみ込み式の白の便器があった。赤外線センサーで水が流れるものであり、室内の隅には小さめのゴミ箱が設置されていた。

(あるとしたら、ここか……?)

女性トイレに入ったことがないとはいえ、僕にもある程度の知識はある。故に女性トイレのゴミ箱には何が入っているか、それも知っている。背後に立つ矢行先生の視線が痛い。
しかし、僕は覚悟を決めてその中に手を突っ込んでみた。

(何もない……か)

ポリ袋の感触が伝わるだけで、中に何も入っていなかった。覗き込んでも同じこと。だとしたら……イヤ、まだ分からない。他に、他に可能性があるとしたら。

(……金隠しの部分とか?)

和式トイレの前方に付けられた、いわゆる人間の大切な部分を前から見えないようにするために造られた台形状の壁。その内側は空洞状態にある。僕は四つん這いになり、そこを覗き込んでみた。

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

Twitter
https://twitter.com/mashiroirosymp1