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《109》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(4)ー2 豪邸

僕は震える手のひらを強く握り締め、秘めやかな野望をメラメラと燃やしている彼の瞳を見ながら言った。

「ご心配いりません。築……いえ、お父さん」

初めて使う言葉にむず痒さを感じながら、僕は自分を支えるように膝を強く叩いた。
二人だけの空間に、とんでもない緊張感が走る。

「この度は僕を選んで頂き、本当にありがとうございます。僕は……一日でも早くお父さんのお仕事をお手伝い出来るように、精進したいと思います」

探るような目つきで僕を見つめていた築月氏だったが、僕の言葉を聞き終えると、彼はやんわりと微笑みながら首肯した。

「そうか……よく言ってくれた。君のような逸材を迎え入れるこれが出来て光栄だよ。きっと、亡くなられた君のご両親も喜んでいることだろう」

彼は満足そうに口元を綻ばせると、また僕に握手を求めてきた。内心ホッとしながらも、僕は気を抜かずにピシリと態勢を整えて、その握手に応じた。とりあえず、一応は認めてもらったようだ。
しかし、油断してはいけない。少年漫画でしか見かけないような台詞だが、今日から新たな闘いが始まろうとしているのだ。
その後、タイミング良く連絡が入った築月氏は、左手でスマホを持ち、備え付けのPCを右手で立ち上げると、ビジネスマンのごとく仕事モードに入ってしまっていた。
それから目的地に辿り着くまで、僕と築月氏はまともに言葉を交わさなかった。

◆◆

これからお世話になる家について、気にならなかったと言ったら嘘になる。むしろ、好奇心と一種の恐れの気持ちが半々の複雑な気持ち。
車から颯爽と降り立った築月氏に続いて、僕もアスファルトの地面を踏み、その家を眺めた。
それは、僕がこれまで過ごしてきた施設と同じくらいの大きさの鉄構造の豪邸だった。県の市街地に位置しており、持ち主の権力を示す広い敷地には、電動シャッター付きのガレージの他に、テーマの分からない庭園用の石、離れとして使用しているのであろう茶室なんてのもあった。
一つ一つを目で追っていたら、立派な構えをした鉄扉を開けて玄関までの小道を行く築月氏を見失ってしまう。
「今、帰った」

築月氏は、ただいまも言わずにドアを開けると、広い玄関に反響するよく通る声を出した。
初めて入る家に緊張しながらも、僕も築月氏の後に続く。「お邪魔します……」と築月氏とは逆に控えめな声を出して。

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Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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