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《111》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(4)ー4 琴線

花苗さんの呼びかけに彼女は答えることなく、気の強そうな瞳で僕を見た。
非常に大人びた娘だった。歳はいくつだろうか、制服を着ているということは中学生以上なのは間違いない。よく見ると、瞳が長いまつ毛に縁取られている。化粧までしているということはもっと上、高校生くらいかもしれない。

「志美子! 何だその、口の聞き方は!? お母さんに対して!!」

「見栄晴さん、別にいいのよ。志美子、この子は太郎君よ。ホラ、前に話したでしょ? あなたに弟がーー」

「あぁ。そいつが親父の操り人形になる、カワイソーなガキか」

怒鳴る築月氏を無視して、志美子と呼ばれた彼女は僕を見降ろしながらフンと鼻を鳴らす。
彼女は階段から降り、近くの下駄箱から取り出した靴に履き替え、興味がないといった感じで僕の横をすれ違う。

「志美子、どこに行くの? もうすぐご飯よ」

花苗さんが心配そうに志美子に呼びかける。しかし彼女は冷たい視線を向け、

「うっせぇな、どこでもいいだろ」

と吐き捨てるように呟いた。この反応に、築月氏は苛立ちを覚えたのが表情で分かった。

「志美子、いい加減にしろ! 今日からお前は姉になるんだぞ! 少しは矢行さんのところの娘さんを見習って……」

「……またそれかよ。翔は関係ねぇだろ!!」

築月氏の言葉の何が彼女の琴線に触れたのかは分からないが、志美子は激昂しながら叫び返した。僕も花苗さんも、何も言えず押し黙ってしまう。築月氏と志美子は睨み合っていたが、先に目を逸らした志美子は「やってらんねー」とポツリと零し、即座に出て行こうーーとする前に、花苗さんが口を開いた。

「あ……そうだ、志美子。お布団とシーツは、私の書斎の庭に干してあるけど……どうする?ちょっと跡が残っちゃってるけどーー」

「うるせぇ!! 余計なこと言うんじゃねぇ!」

彼女は花苗さんに向かって再び叫んだ。
しかし、今度は先程のように怒りが込められていたものとは少し違っていた。何というか、知られたくない秘密を隠すために慌てて叫んだ、そんな感じだった。その証拠に、彼女は叫んだ直後に、顔を真っ赤にして俯いてしまった。

「……!!」

その空気に耐え切れなくなったのか、彼女は乱雑にドアを閉めると脱兎の勢いで走る靴音だけを残して走って行った。

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プロフィール

Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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