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《115》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(5)ー1 盗撮

「間違いないですねぇ、これは偽装型のビデオカメラです。しかもセンサー内蔵式の最新版です」

まるで骨董品を鑑定するかのようにじっくりと眺めていた彼は、数分でそう断言した。
矢行先生の顔面が蒼白になってから数十分後。すでに緊急職員会議は終了していたようで、会議室からゾロゾロと出て来ていた。校内に残っていた教員は職員室に集められ、今後の方針が発表された。
大まかな説明が終わると、僕は協力者へと声をかけた。どうやらその人は、会議が始まる前から矢行先生の息がかかっていたらしく、会議の内容を事細かく説明してもらうつもりだったらしい。しかし状況が変わってしまい、別のことを依頼することとなった。

「敷島先生……ちょっとお時間よろしいでしょうか?」

切れ長の眼差しを吊り上げた、神経質そうな印象の長身の男性教員、敷島節銘(しきしませつめい)先生。漆金学園高校の教員で、一年生の情報処理の授業並びに学内の機械全般の管理主任を請け負っている。矢行先生とは同期の仲らしいが、僕はつい最近まで殆ど話したことがなかった。そう、つい最近までだ。

「あなたがそう望むなら、私はいつでも」

僕は周りに気付かれないように、低く抑えた声で言った。それで察したのか、彼も普段見せる人形染みた無感情な表情を解く。代わりに出てきたのは、ゾッとするような不敵な笑み。普段は絶対に見せない、どこかトボけたような白々しい笑み。これを見た後は、大体僕にとってあまり喜ばしくないことが起きる。今回もそうなのだろうか。
廊下を歩きながら今までの出来事をひと通り敷島先生に説明し、先程の教員用女性トイレに入る。誰かに見られたら困るので、紐付きの「使用禁止」のプレートをドアノブに引っ掛けておく。そして、件のカメラらしきものが搭載されたコンセントを見せたのだ。

「私も初めて見ましたよ。前面に人が来たときに自動で撮影出来るスイッチ式のカモフラージュカメラですね。従来のカメラと違って、待機中のバッテリーの消耗を抑えられるので、電源の確保が難しい環境でも威力が発揮出来ます。しかも赤外線は一切出てませんから、光ったり音を出したりする心配もありません」

さすがパソコンやインターネット等を取り扱う職業柄、その手の機械類には詳しいようだ。
受け取ったカメラを色んな角度から観察しつつ、終始微笑みながら説明を続ける敷島先生。そんな彼を不機嫌な表情で見つめるのは、矢行先生。どうやら僕に排泄音を聞かれたことと、自分の使用したトイレからそれが見つかったことで気分を害しているようだ。

「色はクリーム色が殆どですね、アイボリーなんかもあるそうですが。両面テープで貼るだけでもいいんで、誰でも……」

「そんなことどうでもいいわ」

説明を続けようとした敷島先生を険しい口調で遮った矢行先生は、強引に会話の主導権を引き取る。

「問題は、これが本当に盗撮を目的としたものかどうかってこと。他にあるとしたら……」

「盗撮以外ありえないでしょ?」

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Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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