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《12》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (3)―3 軽率

伊庭先生はグッと表情を歪ませる。打つ手の無くなりつつある彼女に、矢行先生は更に畳み掛ける。

「それともう一つ。桃瀬さんがトイレに行けなかったのって、委員会会議が長引いたのが一因よね? 確か、今回の議題提案者って……リンコちゃんよね?」

普段は生徒で賑やかなテラスに気まずい沈黙が流れる。窒息しそうなくらいの。
そうなのだ。委員会会議では、教員・役員問わず提案者の議題について全員で話し合う。矢行先生はここぞとばかりに緩みきっている風紀(本人談)と、最近の生徒らの素行の悪さ(本人談)について大いに熱弁したそうだ。それはもう、会議終了予定時間をオーバーするのもお構いなしに。
その後、トイレに駆け込もうとした彼女に、委員会顧問の先生は簡単な書類整理を頼んだそうだ。五分もかからなかったそうだが、彼女にとってはその五分が命取りになってしまった。

「私程度の人間が気付いたんだから、多分誰もが考えることね。勿論、彼女も授業に遅れてでもいいからトイレに行っておくべきだったわ。でも彼女は生真面目だから。授業に遅れちゃいけないと思って、我慢する道を選んじゃったのね。その結果――」

「分かりました!!」

伊庭先生は一瞬憎々しげに僕を見た後プイっと顔を背け、矢行先生を見つめながら言った。

「今回は矢行先生に免じて目を瞑ります! ですが、もう次はありませんからね!」

矢行先生から取り返したスマホを確認すると、悔しげにムスッとなる。どうやら件の写真は消去されているようだ。

「覚えてますように!」

まるで悪役のようなセリフを言い残すと、伊庭先生は逃げるように去って行った。心なしか靴音を高くして。

「あの……ありがとうございました!!」

残された僕は、伊庭先生にお礼を言った。

「別にいいのよ。私は自分の思ったことを正直に言っただけだから。だからさらに言わせてもらうと……今回はちょっと軽率過ぎたわね」

僕は再度シュンとなった。
あのとき1ー4、つまり隣の教室で授業をしていた伊庭先生は、自分のクラスの異変を感じ取り様子を見に来たという。するとどうだ、生徒の殆どが立ち上がり半パニックに陥ってるではないか。事情を聞くと、直ぐに両クラスに自習を促し保健室へと向かった。
そして最悪のタイミングで現場に居合わせてしまったのだ。

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Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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