おもらし同人誌レビュー⑤ 【蜂蜜色のみずたまり/志月さら】(オリジナル)
- 2020/05/04
- 19:48
同人作家の方々の目標は何なのだろう。やはりプロの商業作家なのかな…なんてことを漠然と考えていたら、ネットの記事で、
【同人で満足している人はプロの漫画家にならなくてもいい】
ーーという、ある編集さんのお言葉を目にした。
同人と商業はスケールが違うということか。
そう考えると、お漏らしの「小説」や「漫画」一本で食べていくのは難しいのかもしれない。
ニッチで大衆向けじゃなくて、アンゴラ臭(後、アンモニア臭^ ^)が半端ではない。
そんな中、
〝この人の作品は商業誌に出しても面白いんじゃないのか? 〟
……と密かに注目している人がいる。
それが、志月さら氏である。
◆◆
オリジナル小説サイト『アクアマリンと薔薇』だけでなく、創作小説サイト等で活動する志月氏は、「おもらし」を主軸に恋愛・ファンタジー・百合といった様々なジャンルのお話を産み出し続けていますが、全ての作品に共通しているものがーー〝ハートフル〟。
即ち、おもらしフェチの情欲をたぎらせる内容にも関わらず、読んだ後に何故かほっこりすることが出来るのが最大の特徴なのです。
その中から、今回は短編集『蜂蜜色のみずたまり』をレビューさせて頂きます。
◆◆
本作は、おもらしをテーマにした恋愛短編集。一作およそ五分〜十分程度で読めるだけでなく、文庫サイズの大きさなので、文字通り手軽に楽しむことが出来るのです。
表題作「蜂蜜色のみずたまり」は、好きな女の子と二人っきりの場で彼女のおもらしを目撃してしまう、純粋な男の子が主人公。短いページの中に、濃密なおもらし描写からの保健室後までの流れ、さらに今後の展開を予感させる告白シーンで終わらせる辺り、
「なるほど、これは思わず手に取っちゃうし、結末が知りたくなるな」
と、しっかりおもらし小説を堪能した上でほっこり出来ました。
別作品には、
・生徒会の会長と役員
・大学生の彼氏とのお泊まり
・初恋の人との初デート
という、いかにもな関係と設定の枠組みが出来上がっています。
表題作が主人公の男視点からの話に対し、他作品では女視点の話が多いのも特徴です。
〝おしっこに失敗しちゃう女の子〟の切迫した心の描写が丁寧に描かれているため、おもらしの展開にドキドキしつつも、言い出せない心の葛藤でさらにドキドキ出来るのかも。
個人的には、表題作と「お泊りデート」の話がオススメ。
後者はおもらしだけではなく、「おねしょ」にもスポットライトを当てています。個人的な趣味が出てしまいますが、短いページ数の作品で二回以上の失敗を楽しむことが出来る話は多くありません。
何故なら、何回もしてしまうと一つ一つが薄っぺらくなりがちになってしまうからです。
しかし今作では、おもらし・おねしょの惨劇から女の子を救ってからの後始末〜その後の展開まで一点の曇りもありません。
難しいとは思いますが、今作の続編こそ読んでみたいな、と思ったほどである。
(おもらし短編作品は大体、〝一話につき一失敗〟というのは僕なりの勝手な理論ですが)
◆◆
ただ一つだけ残念な点をあげるとしたら、
女の子のキャラクターが非常に似通っているということです。
名前と年齢こそ違いますが、話の殆どが「いかにもおもらししそうな気弱な女の子が、気になる人の前で言い出せず、おもらしをしてしまう」(多少の差異はあるが)、という着地点に至っています。
「初恋の人」の主人公では、背伸びした年頃の女の子という、若干の差別化を図っていますが、そこまで大きな違いは感じられません。
逆に言えば、その系統の作品としては一級品のものばかりなので、もっと様々なタイプのおもらし小説を読みたい人は志月氏の別作品を手にとることをおススメします。
◆◆
あとがきによると、〝女の子がおもらしする恋愛小説を死ぬほど読みたい。そう思ったので自分で書きました〟とある。
理想の作品が店頭に並んでないから、自分でつくるーーこれぞ、同人作家の金言だ。
昨今では〝おもらし〟を主題とまではいかなくても、おもらしシーンの描写に力を入れた商業作品も増えてきた。
しかし、今ひとつ突き抜けていないというか、どこかで線引きをして躊躇しているようなモノも多い。
そんな面白いおもらし作品が読みたい欲のある方々にこそ、志月さんの振り切ったハートフルおもらし作品を読んで頂きたい。
【同人で満足している人はプロの漫画家にならなくてもいい】
ーーという、ある編集さんのお言葉を目にした。
同人と商業はスケールが違うということか。
そう考えると、お漏らしの「小説」や「漫画」一本で食べていくのは難しいのかもしれない。
ニッチで大衆向けじゃなくて、アンゴラ臭(後、アンモニア臭^ ^)が半端ではない。
そんな中、
〝この人の作品は商業誌に出しても面白いんじゃないのか? 〟
……と密かに注目している人がいる。
それが、志月さら氏である。
◆◆
オリジナル小説サイト『アクアマリンと薔薇』だけでなく、創作小説サイト等で活動する志月氏は、「おもらし」を主軸に恋愛・ファンタジー・百合といった様々なジャンルのお話を産み出し続けていますが、全ての作品に共通しているものがーー〝ハートフル〟。
即ち、おもらしフェチの情欲をたぎらせる内容にも関わらず、読んだ後に何故かほっこりすることが出来るのが最大の特徴なのです。
その中から、今回は短編集『蜂蜜色のみずたまり』をレビューさせて頂きます。
◆◆
本作は、おもらしをテーマにした恋愛短編集。一作およそ五分〜十分程度で読めるだけでなく、文庫サイズの大きさなので、文字通り手軽に楽しむことが出来るのです。
表題作「蜂蜜色のみずたまり」は、好きな女の子と二人っきりの場で彼女のおもらしを目撃してしまう、純粋な男の子が主人公。短いページの中に、濃密なおもらし描写からの保健室後までの流れ、さらに今後の展開を予感させる告白シーンで終わらせる辺り、
「なるほど、これは思わず手に取っちゃうし、結末が知りたくなるな」
と、しっかりおもらし小説を堪能した上でほっこり出来ました。
別作品には、
・生徒会の会長と役員
・大学生の彼氏とのお泊まり
・初恋の人との初デート
という、いかにもな関係と設定の枠組みが出来上がっています。
表題作が主人公の男視点からの話に対し、他作品では女視点の話が多いのも特徴です。
〝おしっこに失敗しちゃう女の子〟の切迫した心の描写が丁寧に描かれているため、おもらしの展開にドキドキしつつも、言い出せない心の葛藤でさらにドキドキ出来るのかも。
個人的には、表題作と「お泊りデート」の話がオススメ。
後者はおもらしだけではなく、「おねしょ」にもスポットライトを当てています。個人的な趣味が出てしまいますが、短いページ数の作品で二回以上の失敗を楽しむことが出来る話は多くありません。
何故なら、何回もしてしまうと一つ一つが薄っぺらくなりがちになってしまうからです。
しかし今作では、おもらし・おねしょの惨劇から女の子を救ってからの後始末〜その後の展開まで一点の曇りもありません。
難しいとは思いますが、今作の続編こそ読んでみたいな、と思ったほどである。
(おもらし短編作品は大体、〝一話につき一失敗〟というのは僕なりの勝手な理論ですが)
◆◆
ただ一つだけ残念な点をあげるとしたら、
女の子のキャラクターが非常に似通っているということです。
名前と年齢こそ違いますが、話の殆どが「いかにもおもらししそうな気弱な女の子が、気になる人の前で言い出せず、おもらしをしてしまう」(多少の差異はあるが)、という着地点に至っています。
「初恋の人」の主人公では、背伸びした年頃の女の子という、若干の差別化を図っていますが、そこまで大きな違いは感じられません。
逆に言えば、その系統の作品としては一級品のものばかりなので、もっと様々なタイプのおもらし小説を読みたい人は志月氏の別作品を手にとることをおススメします。
◆◆
あとがきによると、〝女の子がおもらしする恋愛小説を死ぬほど読みたい。そう思ったので自分で書きました〟とある。
理想の作品が店頭に並んでないから、自分でつくるーーこれぞ、同人作家の金言だ。
昨今では〝おもらし〟を主題とまではいかなくても、おもらしシーンの描写に力を入れた商業作品も増えてきた。
しかし、今ひとつ突き抜けていないというか、どこかで線引きをして躊躇しているようなモノも多い。
そんな面白いおもらし作品が読みたい欲のある方々にこそ、志月さんの振り切ったハートフルおもらし作品を読んで頂きたい。
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