《17》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (4)―2 物寂
- 2017/01/28
- 06:05
跳ね起きた僕は、自分がスーツのままで布団で眠っていたことに気が付いた。
真っ暗闇の中、手探りで電気スタンドを付け、目覚まし時計を探し時間を確認する。時計は四時を指している。起床時間にはまだ少し早い。
(……どうして……今になって……あんな……)
スーツが汗でベトベトだった。あんな〝悪夢〟を見れば当然か。僕は、ズキズキする頭を押さえながら起き上がろうとする。
「……あれ」
自分の布団の横にある〝もう一つの布団〟がめくれ上がっていることに気付く。先程まで人がいた形跡はある。でもその主がいない。
(キッチンか……?)
懐寂しい若手教師にとって、マイホームなんて夢のまた夢。2DKの格安アパートが僕の城だが、寝室の隣のキッチンからゴソゴソ音がする。木製の引き戸の隙間から光が漏れていた。
(ウ〜ン…………)
僕は察したように、布団から引き戸の前に移動する。一緒に住んでいる住人とはいえ、プライバシーがないわけではない。しかし、何かしらのトラブルが起きたのであれば、力を貸してやりたい。
「シミ姉ぇ?」
引き戸の向こうでガタリと音がする。おそらく僕の声に驚いて、キッチン机にでもぶつかったのだろう。
「驚かしてゴメンね……その――」
どんな言い方をしたものかと考えたが、
「大丈夫?」
あえて、少しだけ含みのある感じて聞いてみた。引き戸の向こうから、アクションはなかったが、数秒逡巡した後返答があった。
「ごめんなさい……アタシ、また……」
少し照れ気味、そして涙交じりの声で彼女はこう答えた。僕は穏やかに答える。
「大丈夫だよ。シャワーを浴びれば済むことだから。僕も手伝うよ」
僕は引き戸を開けた。眩い光で視界は覆われた。
真っ暗闇の中、手探りで電気スタンドを付け、目覚まし時計を探し時間を確認する。時計は四時を指している。起床時間にはまだ少し早い。
(……どうして……今になって……あんな……)
スーツが汗でベトベトだった。あんな〝悪夢〟を見れば当然か。僕は、ズキズキする頭を押さえながら起き上がろうとする。
「……あれ」
自分の布団の横にある〝もう一つの布団〟がめくれ上がっていることに気付く。先程まで人がいた形跡はある。でもその主がいない。
(キッチンか……?)
懐寂しい若手教師にとって、マイホームなんて夢のまた夢。2DKの格安アパートが僕の城だが、寝室の隣のキッチンからゴソゴソ音がする。木製の引き戸の隙間から光が漏れていた。
(ウ〜ン…………)
僕は察したように、布団から引き戸の前に移動する。一緒に住んでいる住人とはいえ、プライバシーがないわけではない。しかし、何かしらのトラブルが起きたのであれば、力を貸してやりたい。
「シミ姉ぇ?」
引き戸の向こうでガタリと音がする。おそらく僕の声に驚いて、キッチン机にでもぶつかったのだろう。
「驚かしてゴメンね……その――」
どんな言い方をしたものかと考えたが、
「大丈夫?」
あえて、少しだけ含みのある感じて聞いてみた。引き戸の向こうから、アクションはなかったが、数秒逡巡した後返答があった。
「ごめんなさい……アタシ、また……」
少し照れ気味、そして涙交じりの声で彼女はこう答えた。僕は穏やかに答える。
「大丈夫だよ。シャワーを浴びれば済むことだから。僕も手伝うよ」
僕は引き戸を開けた。眩い光で視界は覆われた。