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短編小説《1》・神様この人でしょうか?(7)

次の日の真紀はいつも通り、会社に出勤した。いつも通り、廊下ですれ違う男性に目で追われた。しかし、いつもの誇らしさはなかった。

「ねぇ〜、真紀? 今日の真紀はちょっと変よ?どうかした?」

意外に鋭い希美は相変わらず、お菓子をほおぼりながら尋ねてくる。

「そ、そう?……そんなことないと思うけど?」

自分でも声が上ずっていることに気付く。しかし、中止するわけにはいかなかった。やると決めたらやる、真紀はそういう女だった。
チラと横目で確認すると、いつも通り部長に怒鳴られている中田の背中が見えた。内容は何てことない、部署全体の失敗を一人に押し付けられているのだ。

「飽きないね〜、部長も。てか、良く中田さんも来れるよね〜」

希美は呆れたように中田を見る。しかし、真紀は違っていた。彼は、全てを自分に与えられた仕事と捉える。部長からの小言も、今日も押し付けられた雑用的な事務仕事を。
部長からひと通りの罵声を浴び終わった中田は、相変わらず本性が見えない顔付きでデスクへと戻った。そして、自分の机に置かれた大量のファイルと格闘し始めた。
私はそれを見てスクッと立ち上がった。足元に置かれたビニール袋を持って。

「え? 真紀、どこ行くの?」

希美の声は耳に入らない。昼時で人はあまりいない。チャンスは今しかない。

「あ、あのさ……中(あたる)さん……」

名前で呼ばれた中田は、ゆっくりと真紀の方へ視線を向けた。

「昨日はありがと。それでさ……ちょっと電話担当の〝仕事〟について話したいことがあるんだよね〜」

中田は何も答えない。しかし、無視している様子はない。真紀は続けた。

「だからさ、今日仕事終わりとか空いてる?」

真紀は、爆発しそうなくらい高鳴っている心臓を押さえる。
何をドギマギしているんだ。これまで何人ものイケメンとデートをし、フッてきた私が。

「まぁ空いてますけど……しかし、仕事がありまして」

中田は積まれたファイルと書類の束を見ながら言う。とてもじゃないが、今日の業務終了までに終わらないだろう。

「だ、だったら私も手伝うわ!! こう見えても、簿記とかには詳しいんだから! いい! 絶対終わらせるからね! そして一緒に行くの! 近くにすっごい美味しいケーキ屋さん見つけたんだから!」

私はファイルを一掴みした。急げば昼休憩中には終わらせられるかも。今日のラッキーアイテムは「ケーキ」なのだ。

「あ、それとこれ返すね」

ビニール袋を中田に手渡す。中を改めると、赤いマフラーが出て来た。

「昨日のヤツ、乾いたから返すわ。どうせそれしか持ってないんでしょ? それ着けて一緒に行くのよ、分かったわね」

口調が徐々にいつもの自分に戻っていくのを感じた。誰にも見せない本当の自分。しかし、恥ずかしい姿を晒した今、彼の前なら素の自分を見せることが出来るような気がした。
渡されたマフラーをボーッ眺める中田。真紀は自分の持ち場に戻ーーろうとしたが、少しだけ彼を困らせたくなった。
小悪魔的な笑みを浮かべながら、中田の耳元でこう囁いた。

「因みに、それ洗ってないから」

中田の耳が少しだけ赤くなったような気がした。

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Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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