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《3》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (1)ー1 混乱

――シャアアアァァ……

まるで川のせせらぎのような音を、僕は聞き逃さなかった。あるいは、蛇口を軽く捻ったときに流れ落ちる真水か。
目の前いっぱいに広がる黒板には、自分が記した白き文字が羅列している。水音が聞こえたのは背後。生徒の誰かが水筒の中身を床にこぼしたのだろうか。

「せ、先生……!!」

ガタンという音と共に、女子生徒の悲鳴にも似た叫びが俺を呼ぶ。振り返ると、立っていたのは教室の丁度真ん中の位置に座する田代香澄(たしろかすみ)だ。彼女は隣の女子生徒をチラチラ見ながら、言いにくそうに口を開いた。

「桃瀬(ももせ)さんが……その……オ、オシッコ漏らしてます……」

「――――!!」

彼女の言葉を理解するのに数秒を要したが、生徒達は瞬時に察したようで。

「うわ、マジかよ!!」
「マジだ! ウワッ!こっちに流れてきた!!」
「ちょっと! まだ漏らしてる! 向こう行ってよ! 私の机についちゃう!」

パニックになるのに時間はかからなかった。何人かの生徒は、本能的に立ち上がり僕のいる教壇まで逃げてきた。ある生徒は、自分への被害を食い止めるために、机ごと彼女から離れる。またある男子生徒は、離れた席にいることをいいことに、好奇の眼差しで彼女を見つめていた。
先程までの静寂が嘘のようにザワザワとなった教室。

(…………)

こんな状況になっても、私はことの成り行きをボーっと見ていた。というより、何が起きたのか。いや、起きてしまったことが信じられなかったのだ。
おもらし。高校生にもなっておもらし。しかも、クラスの委員長である桃瀬楽久美(らくみ)がおもらし。ありえない。というか、あっちゃいけないだろ、こんなこと。

「せ、先生! 何とかして下さい!」

軽く現実逃避しかけた僕を連れ戻したのは、またしても田代の悲鳴(&腕揺らし)だった。
ハッとした僕は、失敗してしまった当の桃瀬を自分の瞳に映した。
桃瀬の目は焦点を合っていなかった。頬を上気させながら、何もない一点を見ながら脱力してしまっている。
僕は先程の混乱で乱雑になった机を避けながら、おしっこが靴につかないところまで歩を進めると、あらためて惨状を確認した。

「…………」

彼女の手はスカートの上から股に充てがわれたままだが、その手は我慢出来なかったオシッコにまみれている。スカートへの被害は大きく、学校指定のプリーツスカートは色濃く濡れ、椅子の下に水たまりをつくっている。

「桃瀬……大丈夫か? その――立てるか?」

僕は彼女の肩にそっと手を置いた。

ピクッ!!

肩にかかるわずかな力は、彼女を現実に引き戻すのには十分すぎたようだ。

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プロフィール

Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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