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《40》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」(8)ー1 太陽

冷たい北風が通学路を通り抜けていく。
晴れているにも関わらず、太陽が遥か遠くで微笑んでいるみたいに肌寒く感じる。まだ九月だというのに、これで冬になったらどんなに凍えるのか。なんて思いながら、周りの生徒達と共に学校へと向かう。

(桃瀬さん、学校に来てくれるといいな……)

昨日、彼女は僕におもらしの瞬間を見られてしまった。勿論あの後何度も謝ったし、下心がないことも分かってもらえてるはずだ。しかし、見られてしまったという事実に変わりはない。あの後彼女は、矢行先生の意向ですぐに下校してしまったので、話を聞くことは出来なかった。でもあの口ぶりからして、悪い印象は持たれていないはず……と信じたい。
ーーその瞬間。

「築月先生」

聞き覚えのある声が僕の後ろから聞こえた。後ろを向くと、晴れ渡るような笑顔を浮かべる桃瀬さんが恭しくお辞儀をしてきた。

「桃瀬さん……おはよう」

こっちまでつられて顔が綻んでしまいそうな屈託のない笑顔。まるで太陽が彼女に乗り移ったよう。

「先生、昨日は……その、ありがとうございました」

彼女は少し頬を染めながら、少しだけ首をもたげながら感謝の意を唱えた。美しい黒髪がつられて垂れ下がる。

「あ、いや、それは。気にしなくていいよ。それより、学校来てくれたんだね。それだけでもう十分だよ」

前回の一件で、彼女が意地とプライドだけで学校に登校していることは分かった。そんな中での黒板落書き事件、さらには恋人の秘密、僕の前での失態……不登校にもなりかねない材料は揃っていた。しかし。

「いいえ、こんなことで落ち込んでなんていられませんし、それに……」

「それに?」

彼女は嘘のない目をして言った。心の底からそう思っているという目。

「私、先生に恩返ししたいんです。先生がいなければ、私本当にダメになっていたかもしれません。だから、今日学校に来たんです」

嬉しさで胸がいっぱいになる。生徒に心から感謝される日が来ようとは。これが、先生冥利につきるというヤツか。

「あー、コホン!!」

わざとらしい咳払いが、二人だけの世界を壊す。

「朝から何見つめあってんですかー? 何かヤケちゃうなー? タロー先生」

桃瀬さんの背中から、ダイビングするかのごとく抱きつきながら顔を出す女子生徒。その後ろには、顔にそばかすを浮かべた女の子。

「ヒャッ!! 田代さん、それに木下さん!? 何するのよ!」

彼女に抗議を受けているのは木下晶(きのしたあきら)。僕のクラスの生徒で、短めの前髪と長めの横髪が特徴的な快活な少女。背も低く愛くるしいため、クラスのマスコット的存在だ。因みに彼女があの日、風邪で休みだったせいで、僕が桃瀬さんを保健室へと送り届けることになったのだが。

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プロフィール

Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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