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《66》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」(12)ー2 薄桃

そういう問題ではないのでは。というか、また写真でも撮られたりしたら……。
しばらくして僕からスッと離れると「泣いてるの?」と聞かれた。どうやら、今になって怖くなってきたようだ。大勢の前で一人で喋ったり、もしかしたら教員免許を剥奪されるかもしれないという恐怖から解放されたこともあるのだ。
そんな僕の前に、矢行先輩はスッと薄ピンクの布を差し出してきた。僕はありがたくそれを受け取り、目元を拭った。
そこで気付いた。ハンカチとは少し違った感触に。不審に思い、その小さく折り畳まれた布地のそれを開けてみる。三角形だった。綺麗な色合いだった。良い匂いがした。精巧に作られているなと思った。パンティだったーーって。

「え!? ぅえっ!? え、え……」

慌てて前を見ると、彼女は既に数メートル先の保健室へと歩を進めていた。まだ桃瀬さんがいるのだろう、その部屋の扉を開けようとして僕の方をチラリと見た。彼女は蠱惑的に微笑むと、白衣の下のスカートの裾を少しだけズリ上げてくる。

「……確かめてみる?」

「…………ぁ」

ギョッとしたように声を上げたところで、ようやく思い出した。今朝受け取った手紙の内容を。じゃあ、まさかこれって本当に……?

「変態」

彼女の姿が視界から消えた瞬間、後ろから声が聞こえた。まるでタイミングを見計らっていたかのように。突然の声に僕は慄き、後ろを振り向いた。そこには、人を蔑むような目付きで立つ女性が腕組みをして立っていた。

「リ、リンコ……!? な、何で……」

「アナタにしては頑張ったみたいだし、一緒に教室に行こうと思って待っててあげたのに……フ〜ン、そう。全部そのためだったわけね」

とても気持ち悪いものを見る目、完全に誤解している。

「やっぱりアナタと別れて正解だったわね。教え子に手を出すような変態、親に紹介出来ないもんね。それじゃお先に〝タロウ〟」

冷たくそれだけ言い放つと、くるりと振り向き立ち去ってしまった。あの後誤解を解くのに必死だった。僕の呼び方が昔に戻ったのは嬉しかったけど。
だがやはり大変だったのは、二時間目。僕の教室で授業をしたときだ。何しろ集会の際、桃瀬さんのことを「美しい」と言ってしまったんだ。特に女子生徒を中心に、根掘り葉掘り聞かれまくった(百パー、からかい気味に)
『センセー、クミちゃんとはいつから〜?』
『先生はああいう人がタイプなんですか〜?』
『意外でした……先生は、矢行姉さんみたいな人がタイプだと思ってたのに……』
桃瀬さんは無事、自分の席に着いていた。以前の隣の机との距離もなくなっている。木下さんから全てを聞いたようで、終始真っ赤で俯いていた。これまた、誤解を解くのに大変だった(とりあえず「人間として美しいってこと!」と言っておいたが、分かってくれただろうか)。
そして三時間目、自分の授業はなかったので職員室で仕事をしていたら、学年主任の先生に呼ばれた。上山が僕に話したいことがある、とのことだった。
上山はあの後、生徒指導室へと連れていかれたらしい(保健室は桃瀬さんがいたので)。白いテーブルと椅子が対面式に配置されているだけの殺風景な部屋だった。教員側の席には、二人の生活指導の先生。その傍らには何故か敷島先生が立っており、重々しい空気が充満していた。上山は肩を小さくして頭を垂らし、すっかり憔悴しきっている。指導というより、見張られていると表現した方が正しいかも。まるで事情聴取だ。

「築月先生に話したいことがあるそうです」

生真面目そうな先生が口を開いた。僕は戸惑いつつも、上山の方に目を向けた。上山はゆっくりと顔を上げると、その虚ろな瞳を僕に向けた。

「僕じゃないんだ……」

かすれるような声で呟いたその言葉を理解するのに数秒かかった。

「……え?」

「彼女の紅茶に薬を入れたのは僕だ。でも……それを考えたのは僕じゃない……」

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Author:屈辱の湖
周りと違う僕はおかしいのだろうか。
こんな性癖誰にも理解されないのではないか。
どうやって新しいオカズを手に入れればいいのか。
分からぬまま悶々と欲望を募らせていましたがーーとうとう見つけました。僕のたぎる思いを満たすことが出来るのは、

〝少女のおもらし〟だと。

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