《74》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」 プロローグ 目撃 〜Witness〜 (2)
- 2017/06/08
- 00:40
『……ハイ、もしもーー』
「タロウ!? アンタ今、部屋にいるよね!?」
私はアイツの話を無視して、一方的に吠えた。
「え、いるけど……」
『じゃあさ、開けといて!! オシッコだから!』
そして、すぐさま着信をプツンと切り、すぐに手を元に戻す。少し手を離してしまい、さらに叫んだことで身体に力が入り、再び下着が湿ってしまったが、もうここまでくれば一緒だ。とにかく漏らさなければいいのだ。
そうこうしているうちに、目的のアパートに着いた。かなり寂れている感はあるが、それでもこの地域では珍しい格安物件のためか中々空くことのないという。
私の部屋(本来はアイツの部屋)は二階の端っこ。よりによって一番遠い。悲観している暇もない私は、階段を一段一段ゆっくりと上がる。少しだけ股を広げるという行為すらも、オシッコ噴射のスイッチになりそうで怖かった。
ゴールが近付いたことで少し安心したのか、私は歩きながら指先で下着の状態の調べてみた。結果は悲惨だった。股間部分は当然のこと、尿シミはお尻の方にもかなり伝っているようで、もし下からスカートを覗かれれば〝既に漏らしている〟と判断される。
私は泣きそうになったが、その時間すら今の私には惜しかった。それでもなんとか、「築月」のネームプレートが貼られた部屋の前に着いた。
(あぁ……良かった。間に合った……)
私は頭の中で、トイレまでの道筋を思い浮かべた。大丈夫、遮るものは何もない。そこまでなら、このオシッコも待ってくれるはず。あと少し、もう少しだから。
希望へと続くその扉を私は開けーー
……ガチャ、ガチャ。
ーーることが出来なかった。私を入れますまいと言わんばかりに、ドアノブはガチャガチャと虚しく音を立てるばかりだけだった。
何で、どうして。開けておけって言ったのに。
まさか…良かった無視しやがったのか……あのヤロウ!!
「ちょっと、開かないじゃん! 開けて! 開けてよ!」
私は後先考えず、木製の扉を両手で激しく叩いた。壊れんばかりに、何度も何度も。
ーーしかし、ここまでだった。
ジョババババァッッ!!!!
パンツの中で、オシッコがガス爆発のごとく勢い良く溢れ出始めた。咄嗟に股間を掴んで、最後の抵抗を試みたが、結局は無駄なあがきだった。
「引くんじゃなくて押すんだよ、シミ姉」
部屋の中からアイツの声がしたが、もうどうでも良かった。
「ちょっと……早くマジで……ウ……アぁ……無理……ア、ア……」
もう間に合わない。それは私自身が一番良く分かったことだから。
ーージョボボボボボボ…………
勝負パンツの中から溢れ出たオシッコが、お気に入りのホットパンツを汚し、脚を伝い、足元の床に広がるのに時間はかからなかった。
もう抵抗する気はない。とっくに限界を超えていた私のアソコは、〝止める〟のではなく早く〝する〟道を選んでしまった。
つまり、お漏らしという選択を。
ーー……チョロロォ…………ピチャ……ピチャ……
十秒もしないうちに全てを出し切った私は、自分の状況を確認した。
生暖かい液体をたっぷり吸い込み重くなった下着、恥ずかしい色に染まってしまったホットパンツ、幾つもに枝分かれをして滝のような痕がついた太腿、悲惨なまでに大きな水たまり。……そしてそこから発せられる、鼻が曲がりそうな強烈な臭い。
(やっぱクセぇな……私のションベンは……)
それを嗅いだ私は、ようやく自分がとんでもないことをしでかしてしまったことに、今更ながらに気付く。
「イヤ……イヤ……イヤァ…………」
しかし、時は待ってくれなかった。
ガチャリ。
扉が開き、怪訝な表情を浮かべながらアイツが顔を出した。目が合ったが、何を言っていいかも分からず、私は熱い吐息を漏らしながら無言で見つめ返すしかなかった。
彼の視線はゆっくりと私の足元へと注がれた。
(気付かれた……)
場の空気が凍り付くのを感じた。途端に涙が溢れ出す。でも、泣くわけにはいかなかった。
私はいい年してお漏らしをしてしまった、最低の女だ。おまけに居候の身でありながら、その部屋の玄関を、私の臭いオシッコで汚してしまった。
それでも……私にはプライドがあった。姉としとのプライドが。年上としてのプライドが。堅実に人生を歩もうとしているコイツと違い、正しい道から外れてしまった私にも。ペラッペラのプライドが。
「ヘ……へへ……」
私は情けなくて、恥ずかしくて、どんな顔していいか分からなかった。とにかく泣き顔だけは見せたくなかった。
「タロウ!? アンタ今、部屋にいるよね!?」
私はアイツの話を無視して、一方的に吠えた。
「え、いるけど……」
『じゃあさ、開けといて!! オシッコだから!』
そして、すぐさま着信をプツンと切り、すぐに手を元に戻す。少し手を離してしまい、さらに叫んだことで身体に力が入り、再び下着が湿ってしまったが、もうここまでくれば一緒だ。とにかく漏らさなければいいのだ。
そうこうしているうちに、目的のアパートに着いた。かなり寂れている感はあるが、それでもこの地域では珍しい格安物件のためか中々空くことのないという。
私の部屋(本来はアイツの部屋)は二階の端っこ。よりによって一番遠い。悲観している暇もない私は、階段を一段一段ゆっくりと上がる。少しだけ股を広げるという行為すらも、オシッコ噴射のスイッチになりそうで怖かった。
ゴールが近付いたことで少し安心したのか、私は歩きながら指先で下着の状態の調べてみた。結果は悲惨だった。股間部分は当然のこと、尿シミはお尻の方にもかなり伝っているようで、もし下からスカートを覗かれれば〝既に漏らしている〟と判断される。
私は泣きそうになったが、その時間すら今の私には惜しかった。それでもなんとか、「築月」のネームプレートが貼られた部屋の前に着いた。
(あぁ……良かった。間に合った……)
私は頭の中で、トイレまでの道筋を思い浮かべた。大丈夫、遮るものは何もない。そこまでなら、このオシッコも待ってくれるはず。あと少し、もう少しだから。
希望へと続くその扉を私は開けーー
……ガチャ、ガチャ。
ーーることが出来なかった。私を入れますまいと言わんばかりに、ドアノブはガチャガチャと虚しく音を立てるばかりだけだった。
何で、どうして。開けておけって言ったのに。
まさか…良かった無視しやがったのか……あのヤロウ!!
「ちょっと、開かないじゃん! 開けて! 開けてよ!」
私は後先考えず、木製の扉を両手で激しく叩いた。壊れんばかりに、何度も何度も。
ーーしかし、ここまでだった。
ジョババババァッッ!!!!
パンツの中で、オシッコがガス爆発のごとく勢い良く溢れ出始めた。咄嗟に股間を掴んで、最後の抵抗を試みたが、結局は無駄なあがきだった。
「引くんじゃなくて押すんだよ、シミ姉」
部屋の中からアイツの声がしたが、もうどうでも良かった。
「ちょっと……早くマジで……ウ……アぁ……無理……ア、ア……」
もう間に合わない。それは私自身が一番良く分かったことだから。
ーージョボボボボボボ…………
勝負パンツの中から溢れ出たオシッコが、お気に入りのホットパンツを汚し、脚を伝い、足元の床に広がるのに時間はかからなかった。
もう抵抗する気はない。とっくに限界を超えていた私のアソコは、〝止める〟のではなく早く〝する〟道を選んでしまった。
つまり、お漏らしという選択を。
ーー……チョロロォ…………ピチャ……ピチャ……
十秒もしないうちに全てを出し切った私は、自分の状況を確認した。
生暖かい液体をたっぷり吸い込み重くなった下着、恥ずかしい色に染まってしまったホットパンツ、幾つもに枝分かれをして滝のような痕がついた太腿、悲惨なまでに大きな水たまり。……そしてそこから発せられる、鼻が曲がりそうな強烈な臭い。
(やっぱクセぇな……私のションベンは……)
それを嗅いだ私は、ようやく自分がとんでもないことをしでかしてしまったことに、今更ながらに気付く。
「イヤ……イヤ……イヤァ…………」
しかし、時は待ってくれなかった。
ガチャリ。
扉が開き、怪訝な表情を浮かべながらアイツが顔を出した。目が合ったが、何を言っていいかも分からず、私は熱い吐息を漏らしながら無言で見つめ返すしかなかった。
彼の視線はゆっくりと私の足元へと注がれた。
(気付かれた……)
場の空気が凍り付くのを感じた。途端に涙が溢れ出す。でも、泣くわけにはいかなかった。
私はいい年してお漏らしをしてしまった、最低の女だ。おまけに居候の身でありながら、その部屋の玄関を、私の臭いオシッコで汚してしまった。
それでも……私にはプライドがあった。姉としとのプライドが。年上としてのプライドが。堅実に人生を歩もうとしているコイツと違い、正しい道から外れてしまった私にも。ペラッペラのプライドが。
「ヘ……へへ……」
私は情けなくて、恥ずかしくて、どんな顔していいか分からなかった。とにかく泣き顔だけは見せたくなかった。