《3》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (1)ー1 混乱
- 2017/01/14
- 14:58
――シャアアアァァ…… まるで川のせせらぎのような音を、僕は聞き逃さなかった。あるいは、蛇口を軽く捻ったときに流れ落ちる真水か。目の前いっぱいに広がる黒板には、自分が記した白き文字が羅列している。水音が聞こえたのは背後。生徒の誰かが水筒の中身を床にこぼしたのだろうか。「せ、先生……!!」ガタンという音と共に、女子生徒の悲鳴にも似た叫びが俺を呼ぶ。振り返ると、立っていたのは教室の丁度真ん中の位置に座する田...
《2》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (0)日誌1ページ目
- 2017/01/12
- 10:09
私がこの日誌を他人に見せることはない。だからこれは日誌というよりも、〝日記〟の方が正しいのかもしれない。しかし、これから私が綴ろうとしていることは、非常にデリケートな問題故、また自分が教職に就いていることもあり、自然と堅い言葉を使ってしまう。そのため、ここでは日誌で統一しておこうと思う。教職に就いて二年目で、担任になれと言われたとき正直戸惑いしかなかった。自分で言うのも何だが、私は顔つきが幼く、身...
《1》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 プロローグ Regret 〜後悔〜
- 2017/01/11
- 16:42
どうしよう。本当にどうしよう。 もう心の中で何度呟いたか分からない。額にはポツポツと脂汗が浮かんでいる。無機質な音を同じペースで刻む時計の針を見る。三時五分。さっきからまだ三分しか経っていない。無駄だと分かっていながら、私は時計を恨めしそうにキッと睨めつけた。(ウゥ……ウッ!!)一瞬でも、スカートの上から股の間に挟まれた手の力が緩んだことで、転落へのカウントダウンが始まってしまった。スカートの中の下...