《105》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー14 機嫌
- 2017/07/28
- 00:18
「翔姉ェ! 待って、ダメだ! 入っちゃダメだ!」僕は迷わずその扉を激しくノックした。しかし、スライド式の鍵は当然の如く閉め切られてうちり、ビクともしない。「……え!? タ、タロウ? 何してんの? ここ、女子トイレだよ!?」彼女の驚いた声がトイレ中にこだまする。さすがに慌てた様子で、内部からドカンと何かをぶつけたような音がした。「え、あ、イヤ……と、とにかく出て下さい! 分かったかもしれないんです! 犯人の本...
《104》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー13 目的
- 2017/07/27
- 00:29
(何だ、トイレに行きたかったのか)何か感じ取った僕の視線に気付き、彼女は立ち止まった。恥ずかしそうに手で頬をかいてみせる。「あー……アハハ、別に今は着いてこなくても良かったのになー。ちょっと外の風に当たっていたら催してきちゃってさ。でも、ありがとうね。詳しいことはまた明日にでも話そうか。じゃ」それだけ言うと、彼女は逃げるようにトイレの扉を閉めてしまった。勝手に連れ回しておいて素っ気ないな、と苦笑混じ...
《102》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー11 核心
- 2017/07/25
- 00:48
「なるほど、じゃあ来校者と我々不審者の区別はどうやってつけているんですか?」矢行先生は少し声を低くして詰問するかのように、彼女に問う。「区別……といいますか、私達はこの学校に配属される前に、教職員の皆様と関係者の方々の名前を全員覚えるように義務付けられているんです」苦労を思いだすかのように答える名塚さん。なるほど。さっき僕らが入ってきたとき、矢行先生はすぐに反応したのに、僕には一瞬の間があった。恐ら...
《101》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー10 名塚
- 2017/07/24
- 00:41
◆◆警備員室のドアを開けると、学校内部とは違う独特の匂いがした。目に入るのはロッカー二つと、中央に置かれた丸テーブル。正門が良く見える大窓とその前に備え付けられたディスプレイモニター。監視カメラの映像が映し出されているのだろう。広い造りではないが、さほど物が置かれていないため狭苦しい印象はない。「あぁ矢行先生、お疲れ様です。……それと、築月先生」警備員室には、監視カメラの映像をチラチラ確認しながら、書...
《100》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー9 正義
- 2017/07/23
- 00:39
彼女の考えは、なるほど的を得ていた。ただでさえ彼女はあの事件を乗り越え、一歩を踏み始めたばかりなのだ。そんな中自分の下着が、しかも過去のしくじりの戦利品ともなれば計り知れないショックを感じるのは必須だ。ここ数週間で、彼女と長く向き合ってきた者なら皆同じ考えのはず。「このこと、誰かに言ったんですか?」「校長には話したわ。後はあなただけよ。だから他言無用で、って言ったの」つまり三人だけか。……リンコには...