《102》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー11 核心
- 2017/07/25
- 00:48
「なるほど、じゃあ来校者と我々不審者の区別はどうやってつけているんですか?」矢行先生は少し声を低くして詰問するかのように、彼女に問う。「区別……といいますか、私達はこの学校に配属される前に、教職員の皆様と関係者の方々の名前を全員覚えるように義務付けられているんです」苦労を思いだすかのように答える名塚さん。なるほど。さっき僕らが入ってきたとき、矢行先生はすぐに反応したのに、僕には一瞬の間があった。恐ら...
《101》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー10 名塚
- 2017/07/24
- 00:41
◆◆警備員室のドアを開けると、学校内部とは違う独特の匂いがした。目に入るのはロッカー二つと、中央に置かれた丸テーブル。正門が良く見える大窓とその前に備え付けられたディスプレイモニター。監視カメラの映像が映し出されているのだろう。広い造りではないが、さほど物が置かれていないため狭苦しい印象はない。「あぁ矢行先生、お疲れ様です。……それと、築月先生」警備員室には、監視カメラの映像をチラチラ確認しながら、書...
《100》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー9 正義
- 2017/07/23
- 00:39
彼女の考えは、なるほど的を得ていた。ただでさえ彼女はあの事件を乗り越え、一歩を踏み始めたばかりなのだ。そんな中自分の下着が、しかも過去のしくじりの戦利品ともなれば計り知れないショックを感じるのは必須だ。ここ数週間で、彼女と長く向き合ってきた者なら皆同じ考えのはず。「このこと、誰かに言ったんですか?」「校長には話したわ。後はあなただけよ。だから他言無用で、って言ったの」つまり三人だけか。……リンコには...
《99》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー8 秘密
- 2017/07/22
- 00:40
◆◆教室の真ん中に彼女は立っていた。放課後なのか、僕達の他に周りには誰もいない。虚ろな表情の彼女は、ゆっくりと顔を上げ、教壇に立つ僕を見ながら言った。『ゴメンなさい……オシッコ漏れちゃいました……』自分の罪を告白するかのように言葉を紡ぎ出す彼女の瞳からは、ボロボロと涙が零れ始めた。僕はゆっくりと視線を下に向ける。彼女の制服のスカートの前部分は著しく濡れており、誰が見ても〝お漏らししてしまった〟と分かるも...
《98》【僕のジョボ女簿日誌】 「第二話 姉弟・接吻(シスター・キス)」(3)ー7 渦中
- 2017/07/21
- 00:32
前述した〝とある事件〟の、僕は渦中にいた。しかし、その原因……というか、全てのいきさつとなったのは、僕のクラスの女子生徒・桃瀬楽久美の授業中の失敗だった。1ー3組のクラス委員であり、全体のまとめ役であった桃瀬さんは、絵に描いたような優等生タイプで、責任感も強く、何事も率先して動く真面目な女子生徒だった。しかしつい先日、彼女は授業中にありえない醜態を晒してしまったのだ。生理現象、つまり人間なら誰にも起...