《18》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (4)―3 距離
- 2017/01/29
- 00:04
「ファ〜ア〜ア……」僕は眠い目を擦りながら廊下を歩いていた。大きなあくびで、瞳が僅かに潤う。「築月先生、緊張感を持って下さい」隣から棘のある声に刺され、慌てて僕は口元を覆う。隣では、出席名簿を抱えたスーツ姿の女性が眼鏡をクイと、直していた。「分かってると思いますが、桃瀬さんは何とか登校しているそうです。しかし、やはり元気がないとか。彼女へのケアは同じ〝女性〟である私がしますので、それ以外のことは築月...
《17》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (4)―2 物寂
- 2017/01/28
- 06:05
跳ね起きた僕は、自分がスーツのままで布団で眠っていたことに気が付いた。真っ暗闇の中、手探りで電気スタンドを付け、目覚まし時計を探し時間を確認する。時計は四時を指している。起床時間にはまだ少し早い。(……どうして……今になって……あんな……)スーツが汗でベトベトだった。あんな〝悪夢〟を見れば当然か。僕は、ズキズキする頭を押さえながら起き上がろうとする。「……あれ」自分の布団の横にある〝もう一つの布団〟がめくれ...
《16》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (4)―1 約束
- 2017/01/28
- 04:46
ザワザワザワ…………「ちょっと……あの娘、おもらししてない?」「え、これ、演技じゃないの……?」「先生……緞帳下げた方が……」学校の体育館はどよめいていた。彼女は、ステージの上で立ったまま放心していた。身に纏っているのは、眩しいくらいに映える白のドレス。照明効力による幻想的な光が、彼女を小学生とは思えない程艶やかだった。彼女の純白の美しさには一点の曇りもなかった――黄色く染め上げられたドレスの前面と、裾から流れ...
《15》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (3)ー6 朱色
- 2017/01/28
- 02:50
――頭の中で、ドクンと心臓が揺れる音がした。身体に電流が流れた気分。身体の全機能が一時停止した。脳みそを除いて。「……ルーキー君?」怪訝な顔つきで、矢行先生は俺に近付く。ふと気がつくと、視界にいっぱいの矢行先生の顔があった。「ぁ……え……ア、アハハハ!! す、すいません! 何かボーッとしちゃって……えっと、シミ姉のことですよね! も、勿論! 元気ですよ! 元気すぎてこっちが元気無くすくらいですよ!ハハハ……」取...
《14》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (3)―5 彼女
- 2017/01/28
- 01:39
「それで、彼女は……?」「早退させたわ。下校中にクラスメイトと会ったら恥ずかしいと思ったから直ぐにね。卒業生から貰ったジャージが余っていたから、それを履かせてね」(…………)まだ授業が終わってないのに帰宅する女子生徒。上は制服、下はジャージ。不自然な姿を見て分かる人には分かるだろう。「この娘、授業中に漏らしてしまったのだろう」と。彼女は帰り道、どんなに辛く恥ずかしく、悲しい気持ちだっただろう。そう思うと...