《13》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (3)―4 根詰
- 2017/01/28
- 00:38
「私が何も言わなければ、直ぐにでも校長先生に伝えるつもりだったでしょうね、あの娘。悪い娘じゃないんだけど、堅物過ぎるっていうか」矢行先生はポケットからタバコを取り出して火をつけた。「教師が校内でタバコを吸ってもいいんですか?」なんて聞かない。いや、聞けない。何も言わないからこそ、彼女は僕の前でのみ吸うことが出来るのだ。「あの娘がいると、タバコも吸えやしない。ルーキー君もどうだい?」青少年を非行へと...
《12》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (3)―3 軽率
- 2017/01/27
- 00:01
伊庭先生はグッと表情を歪ませる。打つ手の無くなりつつある彼女に、矢行先生は更に畳み掛ける。「それともう一つ。桃瀬さんがトイレに行けなかったのって、委員会会議が長引いたのが一因よね? 確か、今回の議題提案者って……リンコちゃんよね?」普段は生徒で賑やかなテラスに気まずい沈黙が流れる。窒息しそうなくらいの。そうなのだ。委員会会議では、教員・役員問わず提案者の議題について全員で話し合う。矢行先生はここぞと...
《11》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (3)―2 不満
- 2017/01/26
- 06:11
矢行先生が取り成すように口を挟んだ。「そんなの関係ありません! 私達は教師ですよ! 生徒達を正しく導くものとして、節操のない振る舞いをした彼を見過ごせと!?」伊庭先生の目がキラリと光った気がした。何とかこの状態から抜け出さないと、後で大変なことになる。考える僕を横目に、矢行先生は大きな溜め息をついて言った。「分かったわ、じゃあこうしましょう」矢行先生は髪をクシャクシャと搔きむしったと思ったと思った...
《10》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (3)ー1 追求
- 2017/01/25
- 13:14
放課後。場所は食堂から繋がっているテラス。屋外に白いテーブルと椅子が幾つも並べられている。ここは普段は生徒達の憩いの場所となっているが、今は僕達三人しかいない。肩をすぼめて椅子に腰を下ろす僕。マグマのごとく燃えたぎる瞳を携え、向かいの椅子に座る伊庭先生。そして、立ったまま腕を組んで僕らを冷めた目で見ている矢行先生。「……というわけなんです」授業終了後、ここに呼び出された僕は、伊庭先生の咎めるような視...
《9》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻」 (2)ー4 目撃
- 2017/01/24
- 00:03
格子柄がプリントされた飾り気のない綿パンティ。今どきの女子はこんなものを履いているのか。そして今からこれを桃瀬が履く……そう考えると、心臓の鼓動がいつもより数十倍早くなってることが分かる。(……もうこの辺にしておこう)これを桃瀬に渡して自分はずらか――、パシャリ。無機質な電子音が室内に響き渡る。今になって僕は気付いてしまった。保健室の扉を〝開けっ放し〟にしてしまっていたことを。恐る恐る振り向いてみると、...