《53》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」(10)ー1 平気
- 2017/04/30
- 00:59
朝食は出来るだけ全員で、というのが築月家の方針である。しかし今、このアパートの自宅には僕とシミ姉の二人しかいない。つまり必然的に朝食は二人っきりとなる。「おはよう、シミ姉」「……あ、太郎。おはよう」エプロン姿のシミ姉は、僕の姿を見るなりニコッと微笑んだ。しかし、どことなくぎこちなさそうである。一つしかない机には、既に食事の準備が整っていた。ご飯に味噌汁、卵に漬物の入った小鉢と、まるで旅館にいるかのよ...
《52》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」(9.5) 休み時間・教室にて
- 2017/04/30
- 00:31
「知ってるー? 明日の集会で築月ッチも喋るんだってー?」「へー、ルーキー先生も? 何でだろうねー?」「何かー、去年入った先生を代表して、スピーチするんだってー」「え? 私が聞いてたのと違うよー。何か、この前の落書き事件について謝るって聞いたけど」「うそー、築月ッチ無関係じゃん」「何かー、あの教頭の差し金だって聞いたよ。PTAの偉い人とかが来るんだってー」「あー、そういや会長ってテレビ出てるんだっけー...
《51》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」(9)ー6 決意
- 2017/04/29
- 00:28
僕は困り顔で立ち尽くす彼女の腕を掴むと、引きずるように少しずつ歩を進め始めた。「え……でも……オシッコが……見られちゃう」彼女も一緒に歩き始めたが、その足取りは重い。僕は彼女に合わせるようにスピードを落とす。「大丈夫、こんな時間だよ。見られても気付かないよ。家に帰ったらすぐにシャワーを浴びて、今日はもう遅いからーー」「オシッコパンツあげるからね」彼女は僕に腕を絡ませてきた。彼女の不安げな吐息が耳元に触れ...
《50》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」(9)ー5 羞恥
- 2017/04/28
- 00:03
「私、心配で、何も……手に付かなくって……心配で……」呼吸が整ってきたと思ったら、彼女の身体が小刻みに震え始めた。脚の内側を擦り合わせながら、苦しそうに表情をゆがめる。「シミ姉、どうしたの?」端から見ても彼女の身に何か異常が起きたとしか思えない。話しかけた矢先、頭の中に浮かぶものがあった。それを口に出す前に、彼女が先に声を上げた。「トッ……トイレに行きたい……」彼女は恥ずかしそうに自分の尿意を訴えてきた。や...
《49》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」(9)ー4 本心
- 2017/04/27
- 10:46
『一つ助言してあげる。あなたは心の底で、どうして自分がこんな目に合わなくちゃいけないのか、そう思ってるはずよ。今の状況、少しは責任があるかもしれないと思う反面、一番悪いのは別にいるのに、とも考えているはず。だから納得いってないんでしょう?』「…………」彼女は全て分かっていた。いつもそうだ。彼女は、状況把握能力に長けており、誰かに聞かずとも何でも、全てを分かっているのだ。そして今も、僕の心情を的確に当て...