《61》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」(11)ー3 太郎
- 2017/05/05
- 14:25
「教えてくれてありがとうございます。じゃあ……桃瀬さんのことよろしくお願いします」僕は頭を下げると、踵を返して体育館に向かって駆け出そうとしたーーところで。「ねぇ太郎」呼び止められた。〝名前〟で。「いつまで肩に力入れてんのよ」振り向くと彼女は、照れ隠しなのかプイとそっぽを向いている。「前みたいに名前で呼んでよ、二人きりのときくらい」いつもの冷たい口調だったが、普段の氷のように相手を咎めるものではなく...
《60》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」(11)ー2 発狂
- 2017/05/04
- 13:15
そのとき僕のまぶたから熱いものが溢れた。何てことだ。僕が泣いてどうするんだ。僕は大人として教師として、強さと威厳を持って生徒に接しなければいけないのに。やはり、僕は教師に向いてないのかもしれない。ここまでしないと、生徒に自分の思いを伝えられない僕は。「先生……ゴメンなさい」こんな僕を見て、彼女は呆気に取られたのか涙が引っ込んでしまっていた。そしてうなだれた僕の頭にそっと触れると、強引に自分の元へと引...
《59》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」(11)ー1 懇願
- 2017/05/04
- 10:03
「……え?」彼女の表情が一瞬で青ざめた。「な、何言ってるんですか先生? 私は……我慢出来なかっただけで……」先程のはにかんだ笑顔とは、比べ物にならないくらい嘘臭い笑顔。彼女は気付いていないつもりだが、顔を真っ青にして、わずかに手がブルブル震えている。「トイレに行き忘れたって? ここ数日で二回も失敗した君が? 君はそんなバカじゃない」不安に駆られた表情で僕を見つめる桃瀬さん。しかし、僕は彼女から目を逸らせず...
《58》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」(10)ー6 三回
- 2017/05/03
- 00:24
僕は、彼女を気遣うように正直に答えたつもりだったが、彼女はより赤面してしまったような気がする。だが、それは本心だった。一般的に人の排泄物は汚いものとされているはず。しかし、自然と彼女のそれはそんな風に感じなかった。だからさっきも、彼女の湖に足を踏み入れたときも何の迷いもなかった。「築月先生……!」そんな中、ようやく群衆の中から一人の男性が飛び出した。青ざめた表情の校長先生だった。意外だな、どうせ教頭...
《57》【僕のジョボ女簿日誌】 「第一話 学園(エデン)は檻の中」(10)ー5 姫様
- 2017/05/02
- 00:18
◆◆「桃瀬さん……!!」伊庭倫子は周囲の混乱の中、冷静に事態を判断すると、すぐに彼女に駆け寄ろうとした。またやってしまったのだ。自分のクラスの女子生徒・桃瀬楽久美が。お漏らしを。オシッコ失敗を。 何があったのかは分からないが、助けなくては。彼女のクラスを受け持つ者として。しかし、その身体は片腕の不快な痛みによって止められた。「リンコちゃん、待って」彼女の腕を掴んだのは、隣に立っていた矢行翔だった。女性...